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■ セガラリー2 を動かす WindowsCE
前回のレビューでは、セガ・ラリー2 のスクリーンショットをいくつか紹介した。
今回は、前回あまり触れられなかった、Dreamcast 用 WindowsCE パッケージ「Dragon」について、インターネット上で得られる情報を元にまとめてみたい。関連リンクは、ページ末にまとめた通りである。
■ Windows CE for Dreamcast = "Dragon"
さまざまな情報を総合すると、Dreamcast 用の WindowsCE "Dragon" とは、下記を含んだ開発用パッケージと考えられる。狭義の意味では、セガ・ラリー2 の GD-ROM に含まれている実行用の小さな OS だろう。セガ・ラリー2 が動作している時、16MB メモリの 1MB 程度の部分で WindowsCE が動作しているのである! これまでにも、ゲーム機メーカーの共通ライブラリという形で、OS のようなものが動いている例は多かったが、いわゆるメジャーな OS、OS っぽい OS で動くゲーム機というのは、今回が初めてといってよいだろう。
こういったことが、可能なのも、WindowsCE Kernel の優れた設計上の特徴の一つといってよい。だから、携帯電話や、FAX などに組み込んでいくことも可能なのだ。
項目 内容 カーネルモジュール 1.2MB
(WindowsCE 2.0 ベース?)カーネル = 250KB
+ GD-ROM ファイルシステム + デバイスドライバ = 400KBグラフィック DirectX5 customized for Dreamcast
SH4, PowerVR2 にチューニングコントローラー Direct Input
日本語入力、キーボード・ソフトウエアキーボードサポート含む (?)サウンド Direct Sound 通信ライブラリ 通信対戦
チャット開発環境 Windows NT4.0 SP3
Visual C++ for Dreamcast (Dragon SDK)■ "Dragon" 気になる、その性能は?
さて、一般的には、「Windows といえば遅い」という印象が強いのではないだろうか。Windows 3.1 くらいから Windows を知っているユーザーならば、ほぼ間違いなく、この印象を持っていると思われる。
Dreamcast に搭載されている PowerVR2 チップは、300万ポリゴン/sec であるといわれている。しかし、ファミ通などに掲載されたセガの開発部インタビューを注意深く読んでいると、この数値は、Dreamcast の限界値ではないらしい。実際のゲーム中で利用できるポリゴン数は、300万ポリゴン程度だろうとのことで、限界性能を引き出せば、500万ポリゴンはいけるのではないかという。
一方、セガ・ラリー2 を動かすためにはどの程度のポリゴン数が必要なのだろうか。アーケード版のセガ・ラリー2 は、Model 3 と呼ばれる 100万ポリゴン/sec 出せる基板の上で動いていた。アーケード版で、この基板を 100% 出し切っていたかどうか分からないが、Dreamcast 版では、このアーケード版のセガ・ラリー2 とほぼ同等のクオリティを達成しているように見える。
ところが、素人目には分からないが、実際に Dreamcast のゲーム開発者や、開発経験のある人々に聞くと、「(セガ・ラリー2 は) かなり苦しいですねえ。フレーム落ちが見える」らしい。これと同じ現象は、セガの "Ninja" ライブラリを利用した SONIC Adventure ではみられないことから、やはり、"Dragon" によって、Dreamcast の半分くらいの性能が失われてしまっている可能性がある。
さらに、通信対戦時には、一部のサウンド再生が失われる (まったくオフにしているので、途切れて聞き苦しい風はない) など、やはり性能低下が見られる。
■ 難産だった? Dragon
ところで、セガ・ラリー2 の発売日は、当初 11/20 だった、Dreamcast と同時発売の予定であった。
10月末には、Dreamcast の発売延期に合わせて、11月27日へ変更された。
11月前には、1月14日発売とされ、年末に、さらに 1月28日へ延期され、ついに、このたび発売へとこぎつけたのだ。
実は、この出荷の遅れは、Dreamcast 用の WindowsCE SDK "Dragon" のバグのせいといわれている。特に通信対戦周りでは、いろいろな例外処理が必要になる。電話回線はいつ切れるか分からないし、いつユーザーがリセットしてしまうかも分からない。電話回線の伝送の遅れは、海外に比べて高品質な NTT 回線でも、最大で 200ms 程度になる。こういった差をユーザーに感じさせないプログラミングが必要になる。この辺りの複雑な問題が実機での試験で次々明らかになったものと推測される。もちろん、ハンドヘルドPC などで、体験したことがあるだろう、ハングアップなども、試験中には何度も発覚したのではないだろうか。
しかも、Dragon も、Microsoft 製品の例によって、ライブラリのソースコードなどは公開されていないと考えられる。完全に WindowsCE API によって、ラッピングされているため、これでうまくゲームが動いた場合には、Windows98 上などへの移植も容易に行なえるというメリットはあるだろう。しかし、現状において、ゲームソフトの出荷が至上命題であり、PC 用ゲーム市場にあまり多くを期待していないソフトハウスからすると、ライブラリのバグでゲームが出荷できないなんて、とんでもない事態なのである。
■ まとめ
こういった問題点があるため、アクション系や、ハイスピードが要求されるスポーツ・シミュレーションゲームなどで、Dragon を採用するソフトハウスは少ないかもしれない。
しかし、ゲームは常にパフォーマンスが最重要とは限らない。恋愛系シミュレーション・ゲームのハドソンの「北へ」がすでに "Dragon" ベースで開発中と噂されるほか、コーエーの「信長の野望 Dreamcast」なども、"Dragon" ベースになるのではないかと想像される。今のところ、ネットワーク通信においては、"Dragon" に一日の長があるという見方もでき、今後の展開が楽しみである。
さて、そういうことで、WindowsCE ベースのゲームソフト、セガ・ラリー2 レビューの最後は、気になる通信対戦で締めくくりたい。
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■ 更新状況
- 1999/2/1 (月) 作成
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