|
世界トップシェアPDAの謎 CEから見たPalm/WorkPad
|
![]()
■はじめに
WindowsCEの搭載されたPDAを買う・選ぶというとき,よく引き合いに出され,比較対象となるのがPalm/WorkPadシリーズである.筆者の個人的な意見で言えば「元々想定された用途が違うんだから比較してもしょうがないんじゃない?」と思うのだが,PDAだということで一括りにされていることが多いようだ.実際に選ぶユーザーがそう思うのなら,試しに比較してみるのも意味があるかもしれない. そこで,これから数回にわたって,CEと比較しながらPalm/WorkPadの紹介をしていく.なお,筆者はCEとWorkPad双方(NEC MC-R430とIBM WorkPad40J(c3J))のユーザーである.
クレードルに載せた状態のWorkPad40J.隣のIntellimouse Explorerと比べると,その小ささがよく分かる■PalmOSというOS
PalmOSは,もともと米国U.S.Robotics社が自社製パームサイズデバイス「Pilot」に搭載するために開発した,パームサイズデバイスに特化した性能を持つOSだ.その後U.S.Robotics社は3Com社に買収され,3Com社からPalmOSを搭載したPDA,「Palm」シリーズが発売された.Palmシリーズはその軽快な操作性がユーザーに支持され,現在では世界のPDA市場でトップシェアを保持している.
昨年後半には3Com社からPalm関連部門が独立し,Palm Computing社となった.Palm Computing社は今のところPalmシリーズの製造を続けているが,今後はOSの開発・ライセンス業務に特化していくとの見方もある(その見方をある意味裏切って,Palm Computing社は日本法人を設立,自ら完全日本語版OS搭載ハードウェアを投入してきた).
現在Palm Computing社からOSのライセンスを受け,自社のハードウェアにPalmOSを搭載・販売している企業にはIBM,Handspring,TRGがあり,それぞれWorkPad,Visor,TRG Proという名前で販売されている.その他にも,ソニーやNokiaなどがPalmOSのライセンスを受けており,ハードウェアを開発中の模様だ.ソニーは次世代ハンドヘルドデバイスに,Nokiaは次世代携帯電話にPalmOSを採用すると既に発表している.また,AppleがPalmOS搭載のパームサイズデバイスを開発しているという噂も絶えない.
■PalmOSのラインナップ
PalmOSのラインナップ・主な変更点は次のようになっている.
Ver 3.0以前 英語版のみ存在. Ver 3.1 3.0に比べて大幅に高速化され,安定している.完全日本語版が存在. Ver 3.3 3.1よりパソコンとのシンクロが高速化・高機能化されている.英語版のみ存在. Ver 3.5 カラー表示をサポートするなど多数の機能追加,仕様変更.完全日本語版が存在.
■Palmの主な特徴
PalmOSを搭載した現行のデバイス一般(以下Palm)の特徴としては,以下のような点がある.
あくまで概要なので,細かい点で厳密さを欠くことはご容赦いただきたい.
- 少ないリソースでも高速に動作する
Palmに搭載されているCPUは,CE機に搭載されているRISCチップに比べるとはるかに低速である.CE機で最も高速なMobileGearII R530/430ではCPUクロックが168MHzに達するが,Palmではせいぜい20MHz程度でしかない.RAMも現行のCE機では32MB搭載するものもあるのに対し,Palmでは多くて8MB,大半の機種では2MBや4MBである.
上記のようにハードウェア的なスペックが貧弱であるにもかかわらず,Palmの体感速度は決して遅くない.アプリケーションの起動や切り替えではむしろCE機より高速であるように感じられる(大容量データベースの検索など,CPUの性能がものをいう処理ではCEの方が速いことが多いが)ことが多い.これはOSが良くチューンナップされていることに加え,アプリケーションのサイズが小さいこと,カラーでない<注:PalmIIIcでカラー液晶が搭載されたが,驚くべきことに体感速度の低下はほとんどないとのこと>こと,表示解像度が低いこと,見かけ上シングルタスクなこと・・・などによるものだ.こう書くとデメリットが多く見えるが,Palmは速度とその他の要素のバランスを上手く取ることで快適さを確保している.その「バランス」についてはこれ以降の記事を参照されたい.Palmの設計思想は,「何もかも1台でこなす」という考えではなく,ある程度の性能的割り切りの上に成立していると言えるだろう.
ハードウェアのスペックが低いことには逆にメリットもある.CPUのクロックを低く抑えてあるため,小容量の電池でも駆動時間を長くすることができるのだ.
- ペン入力
Palmは全てタッチパネルを装備し,入力は基本的にペンで行う.オプションとしてキーボードも用意されているが,Palmの携帯性を損なってしまうためにそれほど一般的というわけではない.日本語版OS搭載機でもペン入力はひらがなや漢字の直接入力・認識ではなく,ローマ字で手書き入力した後で変換する形式を取っている.独自に開発されたアルファベット一筆書き「Graffiti」の採用により,手書き文字の認識率は非常に高い.元がアルファベットなため,Graffitiを覚えるのに時間はかからないだろう.個人差もあるが,1日使い倒せばおおむね覚えられるのではないか.
- パソコンとの同期(シンクロ)が容易である
CEではシンクロ用のソフトとしてActiveSyncが標準で装備されているが,これは基本的にパソコンとCE機を接続するためのソフトであり,ユーザーが自分で作成したデータのコピーやバックアップはファイルやフォルダ単位で行わなければならない(同期フォルダなどの設定をしておけば自動で行われる). それに対し,Palmでのシンクロは「クレードル(シンクロ用のインターフェース)に置いて,シンクロボタンを押すだけ」である.特に設定をせずとも,ボタン一つで予定表からメモ帳からゲームのセーブデータまで全てのデータがパソコンと同期・バックアップされる.もし何らかの原因でハードウェアリセット(CEでいうフルリセット)する羽目になっても,リセット後にクレードルに置いてシンクロボタンを押せば,データは全て以前の状態に戻るという簡便さだ(フルリセット前にバックアップを取っておけばCEでも可能).
- Windows以外のOSともシンクロ可能
Palmにはメーカー純正のMacOSとのシンクロ用ソフトが存在しており,Windowsと同様のシンクロ機能を使用することができる(日本で発売されているWorkPad日本語版では正式サポートされていない.別売のMac用接続キットが必要).また,オフィシャルではないがユーザー製のUNIX用シンクロソフトもあり,Linuxなどとシンクロすることも可能となっている.
- パソコンと一緒に使用するのが大前提
現行CE機は,単独で使用することも不可能ではない.本体内蔵アプリケーションを主に用い,バックアップをコンパクトフラッシュなどに取るならば母艦としてのパソコンは必須ではないのだ.しかし,Palmを単独運用することは事実上不可能に近い.Palmではデータのバックアップもソフトのインストールも,基本的にパソコンからでなければ行えなくなっている(最近発売されたTRG Proの目玉の一つがこの点の改善で,CFスロットの搭載によって単体でのバックアップを可能にしている).Palmの機能は初期状態のままではかなり貧弱であり,膨大なオンラインソフトが使えないのでは本来の実力を発揮できない.従って,母艦と連携させることは大前提だと考えなければならないだろう.
■次回予告
次回は,ハードウェアの特徴について書く予定である.
■Palm/WorkPad関係リンク−これを見なけりゃ始まらない!
- www.PalmFan.com - Palm/WorkPad関係のニュースならとにかくここ.
- Muchy's Palmware Review! - Palm/WorkPad用オンラインソフトを探すならまず見るべし
■感想・コメントは、Windows CE FAN の掲示板 (BBS) へお願いします。
■更新状況
- 2000/1/8(土) 新規作成
- 2000/3/9(木) PalmOS3.5のリリースに伴った修正
- 2000/3/19(日) 日本語版PalmOS3.5のリリースに伴った修正
Reported by square
![]()
(C)2000 Windows CE FAN