組込み総合技術展バーチャルツアーその4 「式神」組込みLINUXの助っ人登場

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2002年11月26日(火)版

組込み総合技術展バーチャルツアーその4 「式神」組込みLINUXの助っ人登場

Embedded Technology 2002 組込み総合技術展(旧称:MST)レポート


SL-C700は式神搭載なのかな?
■はじめに

 Embedded Technology 2002 組込み総合技術展、今回は組込みLinuxに目を向けてみよう。Linuxを採用したPDAとして要注目なのは何といってもシャープのザウルスだろう。VGAディスプレイを備えた話題SL-C700もクリスマス商戦に投入される。
 Embedded Technology 2002 組込み総合技術展には、エンドユーザ向けの完成品よりも、その支えとなる電子パーツや開発ツール、ミドルウェアなどが多く出展されている。組み込みLinux分野から「式神」と「axLinux」の動向を見てみよう。

■今話題の京都生まれ

 田中さんのノーベル賞受賞で一躍脚光を浴びているのが京都に本社を置く島津製作所だが、京都は昔から独創性を持つ企業が多い。「式神」と「axLinux」は、京都に本社を置く株式会社アックスの開発によるものだ。アックスのウェブサイトには「人々」(社員紹介)のページあり、約16年前に創刊された「Unixマガジン」という雑誌に度々お名前が登場している方々もお見受けする。
 シャープ、富士通、日立、オムロン、セイコーエプソン等のメーカともパートナー関係や共同開発を行っており、長い経験と蓄積された技術力を備えている会社だといえよう。

■なぜ組込みLinux業界にとって強力な助っ人なのか?

式神2.0動作中のiPaq
 「組み込み/携帯機器向けのGUI環境」とあるがどうしてこれが、組み込み用Linux、特にPDAなど携帯機器にとって強力な助っ人なのだろうか? マイクロソフトのWindowsファミリのみで開発されている方や、LinuxでTck/Tk、Java+AwtでGUIプログラミングを始めたかたはピンとこないかも知れない。
 一番上の写真中のシステム概要からは、LinuxのGUIアプリケーションは基本的にXWindow上に構築されていることがわかる。手書き認識モジュール「布目」はXlibだけで直接プログラミングされているのがわかる。「式神」とXlibとの間にはもう1レイヤーのGTK+/GDKがある。
 「式神」はGNOME互換APIをサポートおり、GNOMEを使いアプリケーションを開発をしたい場合にも恩恵をもたらしている。
 一番下のレイヤーという意味で、WindowsのWin32APIにあたるものが、XWindowではXlibのAPIにあたる。後述するが、このXlibだけでPDAのアプリケーション等を開発するには、相当のコーディング量と経験を要する。つまり開発の負荷がとても大きい。
 また一言で「GNOME互換APIをサポート」と言うのは簡単なのだが、これをPDA製品メーカが開発時に開発の一工程として行うのも容易なことではない。自前で設計、実装、デバッグ、テストまでやるとなると大変な作業で、少しでも下げたいコストにインパクトとなる。

中国語版も動作していた
 XlibはXプロトコルを簡単に操作できるようにしただけで、Win32APIよりもはるかに単純でプリミティブであり、Win32APIなら1行で生成できるプッシュボタンも、Xlibだけでは相当数のプログラミングをしなければならない。もちろん、これを助けるツールキットは昔よりいくつかあるし、GTK+/GDK自体もそうなのだが、より開発負荷を減らしてくれる開発環境が望まれていた。
 また、組み込み機器はなるべくメモリ使用量を小さくしたり、効率的な動作に配慮せねばならず、組み込み機器用に設計、実装、調整されたものが待たれていたわけだ。
 特にPDAはハードウェア自体もコンパクト設計しなければならないなど、ソフトウェア以外の開発負荷も大変大きい。またアプリケーションもWindowsCEやPalmOSプラットホームのものと競争力のあるものが要求され、開発負荷は更に大きくなる。
 どこのPDAメーカも、それぞれのメーカの特長を出せる部分に開発負荷をまわしたいはずだ。
 そこに現れた「式神」と「布目」は開発負荷を減らし、開発を促進するものとして大きな意味があるわけだ。
 

■組み込みLinuxの需要も増えてきている

axLinuxが動作するCARD-PC
 組み込み機は日常生活からみれば、生活の裏側をささえてくれているもので、その姿を意識することは非常にすくない。Windows Embeddedが知らぬ間に日常使っている機械に組み込まれているように、Linuxも多方面で使われ始めており、おそらく知らぬ間にあなたもLinuxユーザという現象もおきている。
 EPSONのブースでも、産業用のカードPC上でアックスが開発元の「axLinux」と「式神」が動作している様子がスペースを広くとり展示されていた。EPSON以外にも冒頭にふれたように、Linuxのサポートを表明、あるいは行っているメーカはでてきている。組み込み機分野でLinuxの需要や応用検討が増えている証とも言える。

EPSONブース説明員は2時間交代?
 さて、式神の画面はずいぶんおとなしく見えるかもしれないが、これは渋く見せているだけだそうで、PDAなどデザイン性を重視させる場合にも、もちろん対応できるようになっているとのことだ。アックスのブースで実際にスキンを入れ替えて見せてもらうことができた。

インクジェットで印刷もできる
 アックスのブースでは、ごらんのようにカラープリンタを接続してプリントアウトのデモも可能となっていた。

 
■おまけ

 Xlibだけで簡単なボタン、スライドバー、テキストボックス、ラインエディタを構成しようとするとこんなに大変という一例を紹介しておこう。私のつたないプログラムコードだが、ステップ数でおおよその大変さはわかるのではないか思う。これは約15年前にヒューレットパッカード社の68020ベースのHP-UXワークステーション上でXWindowのプログラミング入門時に勉強がてら書いたもの。当時はまだANSI Cコンパイラではなく、もっとも古典的なCコンパイラが標準だった。
XLIBだけで書いた、PIKAPIX(R,G,B値を変化させて色を見るツール)のソース。本体で使用していないプッシュボタン実装なども含むため幾分長いコードになっています。(X11R2時代のもので動作保証無。システムによりフォント指定調整が必要)



組込み総合技術展バーチャルツアーその4 「式神」組込みLINUXの助っ人登場

Reported by かっぴー


Last-modified: Sun, 24 May 2009 23:45:30 JST (3099d)