WindowsCE.NET開発者向けセミナー(1) メディアネットワーク対応機器開発の実際

このページをDeliciousに追加 このページをはてなブックマークに追加 このページをYahoo!ブックマークに追加

2002年12月11日(水)版

WindowsCE.NET開発者向けセミナー(1) メディアネットワーク対応機器開発の実際

あなたもWindows CE.NET業界を覗いてみよう


■はじめに

 WindowsCE.netはPocketPCのようなPDAだけでなく、日常的に利用している電子機器にも採用が増えています。いわゆる『組み込み機器』と呼ばれる分野です。
 WindowsCE FANスタッフもその状況をちょっと覗いてみようと、Windows CE.NETをこれから採用しようと検討を進めている、或いは既に採用を決定したメーカの技術者向けのセミナーに参加してみました。
 参加させていただいたのは、株式会社日立製作所さんの「日立WindowsCE.netによるメディア・ネットワーク対応機器開発の実際」という1日間のセミナーで、40名の参加者がありました。

 またまた内容が豊富な上、専門的な分野でもあるので、非常に簡単ですが、背景説明を加えながら数回に分けて紹介したいと思います。
 連載の中で、WindowsCE 3.0からWindowsCE.NET 4.0/4.1になって何が改良・増強されているかもご理解いただけるので、PocketPCユーザに方にも参考になるのではないかと思います。 またPocketPCなどの開発をされている方のご苦労もちょっぴりわかっていただけるのではないかと思います。

■セミナーのカリキュラム

 セミナーに使用されたテキストとカリキュラムは以下の通りです。一日でこれだけあるとは開発技術者の苦労が伺えます。

用いられた説明資料

  1. 開発プラットフォームをベースとした組み込み機器設計
  2. システムインテグレータによるWindows CE.NET関連技術紹介
  3. WindowsCE.NETの動向(マイクロソフト)
  4. OSイメージのビルドとリモートツールを使用した組み込み機器デバッグ実演  
  5. システムインテグレータによるソリューション実例
  6. WindowsCE.NET移植とその実際
  7. WindowsCE.NET用デバイスドライバ開発の実際

■参加企業

 残念ながら参加企業名等は参加者にも非公開とされています。理由は組み込み機器メーカさんの名前や部署名がわかってしまうと、製品ロードマップ情報について、競合メーカにヒントを与えてしまうためです。
 いわゆる自己啓発技術セミナー以外のこのような場所では、参加者に対してもリストなど配布されないのが普通です。

■組み込み機器開発受難の時代

最初のカリキュラム講師の(株)日立製作所 半導体グループ ソリューション技術部 石黒氏

 組み込み機器展レポート最終回でも若干触れましたが、組み込み開発機器の現状をセミナーのプレゼンテーションも参考にした上でまとめてみると、次のように要約されるでしょう。


  • 開発から市場投入への期間短縮→設計期間の減少
  • CPUなどの動作周波数の高速化→設計難易度の上昇
  • インターフェイス・通信プロトコル・サポートデバイスの増加→検討・習得項目の増加
  • 競争の激化→徹底したコストダウンの必要性

以上のように非常に負荷が増加しており、組み込み機器設計者受難の時代となったと言えます。組み込み機器メーカーの開発者をよりサポートできることも、電子デバイス供給メーカーの重要なファクターの一つとなっています。

 CPU等電子デバイス供給するメーカーが、組み込み機器メーカを支援する場合は大昔からありました。
 どのような電子デバイスを購入しても、たとえばトランジスタ一石でさえ、デバイスの狙った用途での推奨回路例はスペックシートに必ず書かれていました。やはり供給メーカとしてもすんなりと性能を発揮した状態で使ってもらいたいからでしょう。
 新卒の新入社員が「回路の勉強どうしたらいいんですか?」と先輩に聞くと、「メーカのカタログも意外と役立つんだよ」と教えてくれたものでした。

 それでは今ではどのようになったのでしょうか?各デバイスメーカ独自の工夫やサービスもありますが、Windows CE.NETの場合の一般的な例を見てみましょう。

■プレゼンテーションからみた現在の内容

 下記のリストは、今回のセミナーのプレゼンテーションをもとに、筆者が説明を加えて独自にまとめたものです。デバイスメーカにより独自性や工夫もあるので、あくまで一例として捕らえてください。


即ソフト開発も可能なリファレンスボード(デバッグ支援機能を搭載している)
  • JTAG(Joint Test Action Group)規格準拠回路を搭載している。
  • Binary Download可能、すなわちWindows CE.NETのプラットフォーム開発環境であるPlatform Builderから簡単にボードへビルドしたOSイメージを転送できる。
  • Remote Toolsサポート、すなわちボードに接続したPCよりインテリジェントなリモートデバッグが可能。
拡張可能なリファレンスボードのハードウェア
  • CPU固有ローカルバスやPCIバスによる拡張性がある。
豊富な公開設計情報
  • マニュアルとアプリケーションノート
  • 回路図とガーバーデータ
  • FPGAソースコードと説明書
  • ソースコード付きモニタプログラム
  • Windows CE.NET/3.0A BSP(Board Support Package)ソースコード
  • デバイスドライバソースコード

 上記のように、マニュアル、アプリケーションノート、説明書がそろっていますが、ソースコードがふんだんに公開提供されていることがわかります。
 理由は色々あります。一つは文章表現ではどうしても説明しきれないところがあり、そのためサポートチームとQ&Aのやり取りを何度もしてたのでは時間を消費してしまうためです。質問をして説明を受けるより、実際の物を見せてもらったほうが早いというわけです。組み込み機器開発メーカでは開発時間の短縮になりますから、製品のトータルコストダウンに繋がります。
 同時に、供給側メーカにしてみれば、ソースコードを公開することにより質問に答えるためのリソースを押さえることができますから、供給物のトータルコストダウンにもつながります。
 このようなバランスの上で均衡がとられているのがわかると思います。 


■今回のまとめ

 電子デバイス供給メーカーが組み込み機器メーカーに対してどのようなサポートをしているのか、おおよその様子がお分かりいただけるのではないかと思います。実際には供給側メーカにより独自性があります。たとえば1社で全てのケースをサポートするのではなく、グループとして系列の会社が行うサポートもあります。
 いろいろなケースはありますが、組み込み機器メーカーに対してサポートがあることに違いはありません。

 公開設計情報の中には見慣れない用語もあると思いますので、次回、一部ですが少し整理してみましょう。




Reported by かっぴー


Last-modified: Sun, 24 May 2009 23:45:30 JST (3103d)