本稿は「CLIE PEG-NZ90 レビュー 第1回 〜恒例のパッケージ紹介!」の続きとなります。■ 今回は「FeliCaリーダー」をご紹介 毎度いろいろなギミックを搭載して我々を驚かせてくれるCLIEシリーズであるが、このCLIE PEG-NZ90も例に漏れずまた色々な仕掛けを内蔵している。その中でも特に驚かされたのが「FeliCaリーダー」機能だ。カメラやBluetooth等は、ちょっと勘のよい人なら想像がつくところであるが、まさかこの機能の内蔵を予想していた人は少ないのではないだろうか? 今回はその「FeliCaリーダー」機能をご紹介するぞ! ■ そもそも「FeliCa」って何?  | CLIE PEG-NZ90とSuica(下)、Edy(上) |
「ソニーの電子マネー」というと、「Suica」やら「Edy」やら「eLIO」やら「FeliCa」やら…どこかできいたことがあるような、ないような、そんな横文字がいっぱい飛び出してくる。まずはこのあたりの単語の整理をしてみよう。 CLIE PEG-NZ90にはFeliCaリーダー搭載!といったが、ではまずFeliCaとは何かというと、「ソニーが開発した非接触型ICカード規格(OS)」というのが端的な答えとなる。そしてSuicaやEdy、eLIOというのは、それぞれFeliCaというICカードOSの上で動くアプリケーションのことを示している。アプリケーションは、「サービス」と読み替えたほうがわかりやすいかもしれない。 以下に上述した各サービスの内容を簡単にご紹介しよう。 ・Suica : 「タッチ&ゴー」のキャッチフレーズでお馴染み、JR東日本の鉄道乗車カードサービス ・Edy : プリペイド型電子マネー。 ・eLIO : インターネットショッピングのためのクレジットカードサービス。面倒なカード番号入力なしで、リーダーにカードをかざすだけで、認証が行われる。 各サービスは広範な意味での「電子マネー」サービスということで、そのイマイチ違いがつかみにくいかもしれないし、また同じような機能ならばいっそ一つにまとめてしまえばよいのではないか、といった疑問もでてくるだろう。 しかし、そこでそれぞれのサービスで特に必要とされる機能、という点に焦点をあててみよう。たとえばSuicaであれば、朝の駅の混雑を考えると「いかに高速に読み取るか」がポイントとなるだろうし、eLIOであればクレジットカード番号のようのものをやりとりするわけだから、むしろセキュリティが重要視されるわけで、このようにサービスごとに必要とされる機能にずれがあるため、FeliCaという基盤の上にそれぞれ必要な機能に特化したソフトウェアを乗せているというのはむしろ妥当なやりかたであるといえよう。いたずらに機能をふやして高コストになってしまったり、パフォーマンス(「読み取り速度」が落ちたり、といったこと)が落ちてしまっても意味がないということはいうまでもない。 ■ CLIE PEG-NZ90でFeliCaを読んでみよう! さてFeliCaの説明はこの程度にして、早速CLIE PEG-NZ90のFeliCaリーダーを試してみよう! 本体キーボードの下部がFeliCaリーダー部にあたり、読み取り時にはここにカードをかざすこととなる。当然「非接触型」なので、カードと本体を接触させる必要はない。 現時点でCLIE PEG-NZ90上のFeliCaリーダーで読み取りが可能なカードは、SuicaとEdyに限られる。ただ、リリースされるかどうかは別としても、理論的にはソフトウェアやファームウェアのアップデート/リリース次第で、他のFeliCa規格のカード(eLIO等)にも対応していけるのではないかと考えている。 ■ 「Suica」読み取りに挑戦! まずはSuicaの読み取りに挑戦だ。ソフトウェアとしてはSFC Viewer(SFCard Reader)を用いることとなる。  | SFCViewer起動時の画面 |
SFC Viewerを起動すると、このような画面がでるはずだ。起動したら、画面の案内に従いFeliCaリーダー部のCLIEロゴを隠さないように、お手持ちのSuicaをかざしてみよう。  | 指示に従ってカードをかざすと… |
|  | 読み取り完了! |
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さて肝心の読み取り性能であるが、流石に駅改札に備え付けのリーダーよりは劣るようで、通勤時のような「ほんの一瞬かざすだけ」といったやり方では反応してくれなかった。 ただ、この「ほんの一瞬」というのが非常に表現のしにくい部分で、実はCLIE PEG-NZ90のFeliCaリーダーでも、読み取りの速度は十分に高速だ。多分秒数にすればカンマ1秒の世界の違いで、比較せずに使っている限りにおいては全く不満はない反応速度だろう。あくまでも、駅改札のそれと比較する限りにおいて、若干性能が劣るようだといった結論である。 また筆者はいつも財布の奥にSuica定期券を入れて、その財布をかざす形で改札を「タッチ&ゴー」するわけだが、同様の状態で試験をしてみた。  | この財布のちょうど真ん中あたりにSuicaが入っている |
反応速度については上述の通りだが、財布に入れたままでも無事に認識することが出来た。ただ駅改札においては、この写真の財布にいれた状態で、かつ多少リーダー部から浮かした状態でも読み取りに成功するのだが、CLIE PEG-NZ90の場合この状態から1〜2ミリういてしまっただけでも読み取りが出来なかった。やはり読み取り性能というか、感度というか、その部分ではJR東日本の改札と同じというわけにはいかなそうである。 また読み取る情報に関していえば、現在はイオカード部分の残額表示に限られ、残念ながら利用履歴等を見ることは出来ない。 (ただ時期は未定だが、今後のアップデートで履歴表示も可能になるようである。) ■ お次は「Edy」にトライ 続いて、Edyの読み取りをさせてみよう。こちらもソフトに関して「Edy Viewer」を使うという違いはあるものの、使い方等に関しては基本的にSuicaの場合と同じだ。  | Edy Viewer起動時の画面 |
|  | 履歴ボタンに注目 |
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唯一違うのは、履歴表示および保存機能があるという点。 | 履歴表示だ! |
Edyの仕様上の問題か、CLIE PEG-NZ90のEdy Viewerでは直近6件の利用履歴しか見ることができないのだが、まめに履歴の保存を行うことによってその部分の欠点は補うことができそうだ。ただし、保存自体はCLIE本体に行われるようで、メモリースティックを保存先に指定することは出来ない。 ■ さて、実用性のほどは…? 目新しい機能だということで飛びついてレビューをしてきたCLIE PEG-NZ90のFeliCaリーダー機能であるが、実用性に目をむけると果たしてどうだろうか。Suica(イオカード)にしてもEdyにしても、利用時にはその場で何らかの形でしっかりと残額表示をしてくれることもあり、日ごろから残額を把握しているものではないだろうか。果たしてわざわざ残額チェックをPDAでする機会・必要性があるのだろうか、と考えると筆者としては「?」なのである。 むしろこれから期待したいのは、クレジットカード等からSuica/Edyへのチャージ機能や、またショッピングサイトでのEdy決済、つまり支払い機能の実装だ。当然これらの機能を利用するにはインターネットとの接続が必要不可欠だが、幸いにもCLIE PEG-NZ90にはCFカードスロットが搭載されている。無線LANなりカード型PHSカードなりで、容易にインターネットへの接続は可能であり、この強みを活かさない手はないだろう。 また、CLIE PEG-NZ90を、PCの外付けFeliCaリーダー/ライタとして利用できるようにも是非してほしいところだ。これまでのPDA像といえば、あくまでもPCの補助的な役割が大半であったと思うのだが、CLIE PEG-NZ90をみてみると、カメラ機能やメモリースティクリーダー機能等、PCに無い様々な機能を補完するという端末としての性格も強くもっているように感じる。FeliCaリーダー機能などは、まさにPCと連携してこそ、その利便性も実用性も高まるものだろう。今後のアップデートに期待したいところだ!
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