ソニー CLIE「PEG-TG50」 第4回 Graffitiエリアを捨てて選んだ内蔵キーボードの使い勝手

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2003年3月20日(木)版

ソニー CLIE「PEG-TG50」 第4回 Graffitiエリアを捨てて選んだ内蔵キーボードの使い勝手

光るキーボードと高性能ビューワー Picsel Viewer for CLIEが人気のビジネス・クリエ

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■ はじめに

 ソニー「クリエ PEG-TG50」の紹介を行っている。「PEG-TG50」は同社のクリエのラインナップの中ではミッドレンジに位置する製品で、このクラスとして初の「Palm OS5」+「XScale PXA250 200MHz」搭載機であるのが特徴だ。

 それ以上に特徴といえるのが、「PEG-TG50」が、Palm機の象徴ともいえる「Graffitiエリア」を捨てて、内蔵キーボードを選択した点だろう。同社では、すでに発売されている「PEG-NR70V/60」、「PEG-NX70V/60」、「PEG-NZ90」というハイエンドのラインナップでは、使い方にあわせて液晶パネルが開いたり回転したりする「ウイングデザイン」とともにキーボードがサポートしていたが、一体型クリエでキーボードが採用されたのははじめてだ。

 今回はそのキーボードの使い勝手を探ってみよう。

PEG-TG50のキーボード
利用中はオレンジ色に光る。
試しに照明を消して撮影。
こんな風に光っているわけです。

■ Graffitiは直感的じゃない。やっぱりキーボードでしょ

 筆者が最近の CLIE に興味を持っているのは「キーボードが内蔵されているから」の一言に尽きる。キーボードを何に使うのか、といわれたら、それはもちろん入力だ。PDAで入力したいものといえば、「予定表」、「TODOリスト」、「メモ帳」、「Excelシート」と言ったところだ。いずれも短くて10文字くらい。メモ帳ではできれば 500文字〜1,000文字の入力を行いたい。電車に乗っている間に、1,000文字の文章が書ければ、十分ドキュメント作成用として利用可能だからだ。また、アイデアをまとめるためにも役に立つ。

 Graffitiに慣れたユーザーは、入力が正確で簡単な点を評価しているようだが、筆者はどうしても、この入力方法になじむことが出来なかった。というのも、日本語を入力するためには、例えば「こんにちわ」と入力するために、Graffitiで「KONNITCHIWA」と入力する必要がある。ソフトウェアのGraffitiの場合はともかく、Palm m505や、従来の「PEG-T650C」のGraffitiエリアの場合、アルファベットを入力する一マスの上に、黙々とアルファベットを書いていかなくてはならない。1ヶ月くらいは、毎日 Palm を持ち運んで、この Graffitiを練習した結果、ほとんどの入力が一発で可能だが、やはり頭で考えてしまうのだ。その際に「こ」と入力するのに「K(ケー)、O(オー)」と頭の中でイメージしながら入力していたら、その続きに何を入力しようとしていたかなんか忘れてしまう。

 誤解なきように言っておくと、パソコンや、「PEG-NX70V」を使うとき、筆者はやはりローマ字かな変換を利用して日本語を入力している。永年の慣れのためかキーボードだと、何も考えなくても、日本語を思い浮かべるだけで、キーが勝手にローマ字にして入力してくれるのだが、Graffitiではそうならなかった。

 この点では、Pocket PCの手書き文字認識機能がはるかに直感的だ。漢字を直接入力することが出来るので、入力速度も思ったより悪くないのだ。最近、日本HPが新製品のキャンペーンで配布している「Decuma Japanese」を利用すれば、従来品よりさらに効率的な入力が出来る。

 「PEG-NX70V」にせよ「PEG-TG50」にせよ、キートップの大きさは非常に小さい。それこそ指でやっとこさ押せる程度だ。しかし、アルファベット部分のキー配列は通常のキー配列で、なじみやすい。また、本体に内蔵されている「ATOK」を有効にすれば、先頭文字を入力した時点で、最近使った単語が呼び出される「推測入力」の機能も持っており、高い入力効率を誇る。これなら、我慢すれば CLIE で原稿もかけるというものだ。

■ 他と比較する「PEG-TG50」のキーボード

 キーボードの使い勝手の表現は難しい。ユーザーによって、普段慣れているキーボードは違うだろうし、指の大きさや、力によっても使いやすいキーボードは異なってくる。ちなみに、筆者の場合は、指の大きさは割と小さい方で、力は弱めだ。女性に比べれば力も強いし、大きさも大きいほうだろうが、割と PDAの小さなキーボードでもタッチタイプできてしまうほうだ。

 というわけで、最終的な「PEG-TG50」のキータッチについては、ぜひ店頭で実際に何か入力してみて確認されることをお勧めする。とはいえ、それではレビューにならないので、できるだけキーボードの使い勝手が伝わるように頑張ってみたい。

◎ キーボードの使い勝手は?

 「PEG-TG50」では、キートップが四角になった。従来の「CLIE PEG-NR70V/60」「CLIE PEG-NX70V/60」の丸いキートップとは違って、「PEG-NZ90」に近い形だ。しかし、キートップの硬さは相変わらず。「PEG-NZ90」では少し大型で軽いキートップになっていたので、「PEG-TG50」も同様なのではないかと期待していたが、どうも別物だ。さらに、「PEG-NX70V」のゴムっぽい感触から、ツルツルしたプラスティックっぽい感触になってしまった。爪がちょっとでも伸びていると、どうも指がツルツルすべってかなり疲れる。光るのはデザイン的にも、暗いところで利用する際にも便利なのだが、根本的な使い勝手をもう少し向上してもらえるとよかったように思う。店頭で触っただけだが、「PEG-NZ90」はこの点、キータッチがよくなっていたと感じていただけに残念だ。

 一方でキーボードの配列は、「PEG-NX70」や「PEG-NZ90」に比べても工夫されているように感じる。クリエでは、内蔵キーボードのサイズを抑えるために、キーは基本的に3段だ。通常だとキーの最上部が数値入力用になっているはずなのだが、クリエではこれが省略されて、いきなり「QWERTY」から始まる英字キーとなっている。数字を入力したいときには、「PEG-NX70V」の場合には、「Fn」キーを押しながら入力するか、「Numロック」した状態で入力するようになっている。ところが、この「Fn」キーが通常キーと同じサイズで小さくて使いにくいのだ。同様に使いにくいのが、「Alt」キーだ。ATOKで、入力モードを切り替えたりするのに重要な役割を果たすが、これも同様に慣れるのに少々時間を要する。この点、「PEG-TG50」のキーでは、「Fn」「Alt」「Ctrl」キーが、「Shift」キー並みに大きくなった。連続して数字を入力する際などには、キーを押しっぱなしにしやすく、その効果を感じる。記号入力の際のキーの組み合わせは、「PEG-NX70V」とはまったく異なっており、新規に考案されたものになっているようだ。賛否両論あるだろうが、「PEG-NX70V」から、「PEG-TG50」へ乗り換えるユーザーは多くないだろうし、「PEG-TG50」では、キーボードで入力可能な記号の種類が増えていることを考えると、進化と考えてもよいのではないか。

右はCLIE PEG-NX70Vのキーボード
キーボードエリアの大きさはPEG-TG50の方が
若干小さい。一方で「PEG-TG50」は、シフト相当のキー
(左隅の4つのキー)が大きく扱いやすい。
「青い線」「赤い線」のキーが従来の「Fn」「Alt」に

◎ デスクトップパソコンや、ノートパソコンと比べる「PEG-TG50」のキーボード

 筆者が普段使っているキーボードに点数をつけるとすると、おおよそ下記のような感じだ。中でも、筆者が普段使っている「Microsoft Natural Keyboard Elite(英語版)」は、1997年から6年間、自宅とオフィスで毎日10時間以上使っているキーボードだけあって、もはや身体の一部といってもいいくらいだ。それと比べると、当然、他のキーボードのスコアは落ちるに決まっている。その点は割り引いて読んでいただくとよいかもしれない。ちなみに、100点満点のつもりなのだが、「Microsoft Natrual Keyboard Elite」だけは120点にしてみた。

 判断の基準としたのは、「入力効率」「長時間利用時の疲れ」「文章の作成しやすさ」だ。それぞれの評価は使い慣れているなどの私的な感想も入っているが、一般的なノートパソコン等と比べたら、こんなもんだという「気持ち」を表したつもりだ。

120点 Microsoft Natural Keyboard Elite (英語版)

 メインキーボードだ。自宅で使っているだけでなく、自腹で買って、オフィスに持ち込んでいるくらい使い慣れているキーボードだ。1日10時間以上たたき続けているが、まったく手を痛めない優秀なキーボードだ。

95点 IBM ThinkPad T23

 ThinkPadのキーボードは、キーが単に大きいだけでなく、安定感に富んで、ストロークも深いのが特徴だ。ノートパソコンの中ではピカイチ使い易い。

85点 東芝 Dynabook SS3500, 3400, 日本HP TC-1000

 筆者にとって、一般的なノートパソコンのキーボードはこのレベルだ。一日8時間も使ったらかなり手が疲れてしまう。ストロークが浅い割に軽いのが原因で、筆者のキータッチでも重過ぎるため、指の関節に直接負荷がかかってしまうのが主な原点要因だ。キーのサイズや配置はおおむね満足している。

80点 DELL の付属キーボード

 標準的なデスクトップ用のキーボードということで、DELLの付属キーボードを選んでみた。こちらは、ノートパソコンとは反対に、キータッチが軽い割に、ストロークが長い。クッション性は強いが、なんだかたたくたびに指がキーにめり込むような妙な感触を得るのでやはり疲れてしまう。

70点 ターガス キーボード for Pocket PC

 ターガスキーボードは、4つ折にできる外付けキーボードだ。Palm用や、クリエ用も発売されている。しばらく使っていたが、電車の中など移動中には意外と使いにくい点と、バッテリの消費が大きいので最近は使うのをやめてしまった。入力効率は、ノートパソコン並みで限りなく優秀といえる。
 減点要因としては、キーを押したときに少し不安定感があることだろうか。また、ノートパソコンよりもキーのピッチが大きく、筆者には少し大きすぎる感があるのも減点要因となっている。

65点 ソニー VAIOノートパソコンのキーボード

 イマイチ感のあるキーボードといえば、ソニーのVAIOのキーボードもあまり好みではない。最新の「VAIO Z」あたりは少し改善されているようだが、「VAIO GR」レベルではキーが軽い割に、ストローク浅いというのが正直な感想だ。長い時間使っていると手が疲れてしまう。

50点 シグマリオンII / Jornada728

 慣れればタッチタイプは可能だが、入力性能は決して高くはない。

30点 ソニー PEG-TG50

 ハンドヘルドに比べるとPDAタイプのキーボードはどれも今一歩遅れをとるが、その中では「PEG-TG50」のキーボードは優秀な方だ。両手を使えば、スムーズに入力することができる。キーの数は少ないが、上記に述べたように、「Shift」「赤いバー(Alt)」「青いバー(Fn)」キーとの組み合わせで、使いやすくなっている。

 キーがもう少しやわらかく、滑らなければもっと使いやすかったのではないかと思うだけに残念だ。

28点 ソニー PEG-NX70V

 従来の「PEG-NX70V」のキー入力性能は、「PEG-TG50」より若干劣るとした。「PEG-TG50」で工夫されたキー配列を評価したためだ。

20点 日本HP Jornada568 キーボード

 好みはあると思うが、日本語の入力をメインに考えた場合には、Jornada568のキーボードは今一歩の感が否めなかった。キーの形がちょっと押しにくかったのと、複数のキーの組み合わせによる入力モードの切り替えや、記号入力のサポートが弱かったせいだ。

15点 NTTドコモ N504i

 NTTドコモのN504iでは、T9方式と呼ばれる入力方式がサポートされている。従来の携帯電話のキーは、「う」を入力するためには「あ」に相当するキーを3回入力する必要がある。しかし、「T9」方式のキーでは、1回押すだけでいい。子音の部分だけを拾って入力していくことで自動的に単語になるように変換してくれる。「ありがとう」「こんにちわ」「渋谷」「東京」など、よく利用するフレーズや地名は、候補としても前の方に出やすくなっているため、従来方式よりも大幅に使い勝手が向上している。

 とはいえ、文章を作るのはかなり至難の業だ。連文節変換の機能も強いわけではなく、長文の作成には向いているとは思えない。

5点 NTTドコモ N503iS

 いわゆる携帯電話の親指入力はこの程度と判定した。それに比べると、「PEG-NX70V/PEG-TG50」等の入力効率のよさは分かってもらえるのではないかと思う。携帯電話は、その形状から片手だけで入力できるという特性があるが、やはり長文を快適に打ち込むためのものでないことは確かだ。時々長いメールを打ち込んでいる人がいて感心するが、PDAに比べて優秀ということはなさそうだ。

■ まとめ

 これを読んで、「30点」というスコアにがっかりしたユーザーも多いかもしれない。しかし、アイデアメモなどを箇条書きでメモしていくという用途を考えると、十分ともいえるスコアだと思っている。

 本記事は、タブレットPCの「TC-1000」を利用して執筆したが、筆者の書いている Webmaster日記の半分は、「PEG-NX70V」を使って書かれたものだ。大体20分-30分程度で、1,000文字程度のコラムが書ければこれは十分だろう。入力だけなら、パソコンでは 3分程度しかかからないだろうが、考えながら書けば、パソコンで書いても 5分や 10分はかかってしまう。文章に勢いがなくなる気もするが、思い立ったときに文章が書けるのはいい。普段、日記を書いたり、簡単な報告書をまとめたりする必要のあるユーザーにも、クリエのキーボード内蔵モデルは十分お勧めできるものになっていると思う。

 一方で、願わくば、次世代の Pocket PC でも、こうした内蔵小型キーボードがサポートされてほしいものだ。



ソニー CLIE「PEG-TG50」 第4回 Graffitiエリアを捨てて選んだ内蔵キーボードの使い勝手

Reported by けいたん


Last-modified: Sun, 24 May 2009 23:45:30 JST (3773d)