米国 NEC MobilePro 900 ゆとりの筐体にシグマリオンIIIの高性能を搭載

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2003年5月13日(火)版

米国 NEC MobilePro 900 ゆとりの筐体にシグマリオンIIIの高性能を搭載

2003年型・新型モバイルギアは登場するか?


NEC MobilePro 900

■ はじめに

 米国NECは、2003年5月12日、現地で、H/PC 2000 を搭載したハンドヘルドの最新機種「MobilePro 900」を発表した。価格は、$899、5月下旬からの出荷となる。日本ではおりしもキーボード内蔵モデル「シグマリオンIII」が話題を独占しているが、「MobilePro 900」は、シグマリオンIIIとは異なり、従来のH/PC2000プラットフォームを踏襲している点が大きく異なる。

■ 「MobilePro = モバイルギア」と「シグマリオンIII」の関係

 日本では、今 NTTドコモが発表した「シグマリオンIII」が大きく注目されている。特に多くのモバイルサイトでの話題の半分は「シグマリオンIII」に独占されていると言ってもよい。この業界に詳しい人には、もはや説明する必要もないが、実は、この「シグマリオン」シリーズは、NECの「モバイルギア(米国では MobilePro)シリーズ」と浅からぬ縁がある。

 というのは、初代シグマリオン、二代目シグマリオンIIは、いずれも NEC が製造したもの。そして、いずれも大きさこそ異なるものの、ベースとなるプロセッサや基本性能が同じ「モバイルギア」が存在している。言い換えると、シグマリオン・シリーズは、「モバイルギア」シリーズで実現したハンドヘルドを、500g以下にシュリンクし、ゼロハリデザインに詰め込んだモデルという見方もできる。

 「モバイルギア」シリーズは、日本における「Windows CE = ハンドヘルド機」の市場を作った存在であると同時に、「Windows CE機」になる前のモデルまでさかのぼると「モバイル」市場を作ったといっても過言ではないマシンだ。使いやすいキーボードと、長時間使えるタフなバッテリ。それに、当時としては驚くほど軽量な携帯。今でも、新聞記者や、雑誌のライター、外回りを仕事にしているプロフェッショナルの中には、モバイルギアシリーズを使いつぶしながら、バリバリと仕事をこなしているユーザーは少なくない。

 「モバイルギア」と「シグマリオン」シリーズの関係や、そんなモバイルギアの往年のファンからすると、「シグマリオンIII」をみて思うのは、「ベースとなるはずのモバイルギアは?」「シグマリオンIII版のモバイルギアは?」ということだろう。もちろん、シグマリオンIIIの狙えるマーケットから比べると、残念ながら、そうしたモバイルギアの狙える市場は、1/10以下かもしれない。しかし、モバイルギアに惚れ込んでいるユーザーからすれば、それでも新しい「モバイルギア」がほしい。小さい「シグマリオンIII」では代わりにならないのである。

 長い前置きだったが、今回の「MobilePro 900」は、そこへ登場した「シグマリオンIII」に限りなく近い、「モバイルギア」マシンなのである。「モバイルギア」を待っていたユーザーにはぜひ注目していただきたい。

■ NEC MobilePro 900 の特徴

 というわけで、ようやくだが、今回発表された「MobilePro 900」の機能概要を見てみよう。同社のホームページに掲載された情報を元に、主に日本語化を行った。

  • 約810g、3cm厚とコンパクト (!?)
  • Microsoft Windows CE H/PC 2000
    おそらくは、Windows CE OS Version 3.0 ベースと思われる。
  • Intel XScale PXA255 プロセッサ 400MHz
  • 32MB Flash ROM + 32MB Flash 領域(?)
  • タッチスクリーン、スタイラス
  • 防滴キーボード
  • PC TypeII拡張スロット、CF TypeII拡張スロット
  • PDFビューワー、Citrix ICA Client、BSQUARE bFAX 等をバンドル

■ シグマリオンIIIと違うのは?

 というわけで、気になるのはやはり「シグマリオンIII」と、この「MobilePro 900」、キーボードの大きさも含めて、どちらがどう使い勝手で優れるかという点だ。果たして、「MobilePro 900」は、「シグマリオンIII」の頼れる兄貴分なのだろうか?

 まず、「MobilePro 900」は、従来のモバイルギアサイズのキーボードを備えている。ノートパソコンに比べて 90% を確保するというのがポイントのキーボードは、キーのクッションなどを含めて非常に打ちやすい。シグマリオンIIIも工夫はされているが、モバイルギアのキーボードは、「打てる」という感覚をはるかに超越して、メインマシンとして利用できるだけのものを持っている。

 CPUは、両者ともにIntel XScaleプロセッサ「PXA255」の400MHzだ。
 以前のモバイルギアは、Vr4131というNEC独自の高性能プロセッサを搭載していたのだが、残念ながら効率の点で一歩劣りそうなXScaleベースのものになってしまっている。

 バッテリ性能は互角のようだ。大きいから有利というわけでも、不利というわけでもないようだ。通常の利用で約8時間となっている。両機種とも大容量バッテリを別売アクセサリとして準備しており、それらを利用した場合には、16時間利用できる。

 ディスプレイのサイズは、シグマリオンIIIが大きく優れている。文章を書いていても旧ハンドヘルドPCの 640 x 240 は狭いと感じることがあったが、「シグマリオンIII」では、800 x 480 と大きく進化している。しかも、半透過型液晶で視認性も向上している。一方で、「MobilePro 900」は、従来どおりだ。

 次に大きく異なったのが、搭載しているOSだ。「シグマリオンIII」が、WindowsCE.NET Version 4.1 に、独自のライブラリ等を加えたものになっているのに対し、「MobilePro」は、Windows CE Version 3.0 ベースと思われる H/PC2000 が搭載されている。WindowsCE.NET Version 4.1 は、そのまま OS のバージョンでは、Version 4.1相当。ということで、「シグマリオンIII」の方が1世代新しいものを搭載している。
 ただし、これは、そのまま「シグマリオンIII」の方が優れていることを示さない。シグマリオンIIIでは、新しいOS、新しいライブラリになってしまった分、従来の H/PC 2000用のソフトがすべて動作するわけではない (一部は動作するようだ)。また、シグマリオンIIIでは、好評だった、Pocket Outlook や、Pocket Word、Pocket Excel といったソフトが内蔵されない。もちろん、それ以上に強力なサードパーティソフトが内蔵されているわけだが、Pocket Accessを利用していたユーザーにとっては、今のところ代替となるソフトがシグマリオンIIIには搭載されないだけに残念なところだろう。
 むろん、これから登場するソフトや、新しく業務用のアプリケーションを開発しようという際には、.NETに対応したランタイムが動く可能性のある「シグマリオンIII」の方が適していると思われる。
 こうしたOSの違いは、「MobilePro 900」が、そのまま新型モバイルギアにできないということではなく、Windows CE という OS のバージョンとハードウェア構成は独立性が高いと見るべきだろう。

■ まとめ

 米国 NEC の「MobilePro 900」の発表は、即日本での「新型モバイルギア」につながるわけではない。しかし、もし同じ筐体を流用できるなら、日本語版を投入する際のコストのハードルが一段下がることは間違いない。

 次は、プロセッサがPXA255に変わったことで、新規に日本語版OSを準備する必要があるわけだが、画面サイズの違う、シグマリオンIIIとも共用できないため、なかなか難しい面があるだろう。いずれも数さえ売れれば大きな問題ではないが、シグマリオンIIIにぶつけるのは賢明な策とは思えない。

 ということで、日本語版モバイルギアの登場は厳しいのでは?というのが筆者の予想だが、そこは、NEC。もしかしたら、ユーザーの熱い気持ちにこたえて、サポートなしの限定版だったとしても、新型モバイルギアを復活させてくれるかもしれない。

p.s.
 NECさん、もし日本語版モバイルギア発売するときは、液晶パネルだけは、反射型か、シグマリオンIIIと同じ半透過型にしてください。:-)



米国 NEC MobilePro 900 ゆとりの筐体にシグマリオンIIIの高性能を搭載

Reported by けいたん


Last-modified: Sun, 24 May 2009 23:45:30 JST (3438d)