Pocket PC 2003がやってきた 米国版でOSの改良点をチェック

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2003年6月29日(日)版

Pocket PC 2003がやってきた 米国版でOSの改良点をチェック

より自然に、より使いやすく、より高性能に。さらに進化したPocket PC

 ↑↑↑Pocket PC 2003↑↑↑ 

■ はじめに

 2003年1月、ラスベガスで開催された「Consumer Electronics Show 2003 (CES2003)」では、すでに、アジア系のハードウェアパートナーを中心に「Pocket PC 2003」というキーワードが使われていた。そして、先週、マイクロソフト社から、その正式名称が発表された。その名称は、

Microsoft Windows Mobile 2003 Software for Pocket PCs

だ。すでに、WindowsCE FAN でも、関連記事などを報告しているが、ここでは、マイクロソフト社の発表を元にPocket PC新バージョンで改良された点を紹介していこう。なお、ここでレポートする内容は、あくまでも、米国版のもので、日本語版については、マイクロソフト社の発表を待って報告していきたい。

■ ワイヤレスネットワークの強化

 PDAの世界には、Pocket PC、WindowsCE.NET といったマイクロソフトのOS以外にも、Palm や、Linux などさまざまなものが使われている。こうしたモバイル向けのOSを評価する軸は、さまざまあるが、無線LANをはじめとする社内ネットワークや、インターネットへの接続性という観点からみると、Pocket PC や WindowsCE.NET がずば抜けている。対応する無線LANカードや、LANカード、PHSカードの豊富さなど、あらゆる点で、PC並みの接続性を持っている。

 「Pocket PC 2003」では、こうした点がさらに強化されているぞ。

  • ゼロ・コンフィグ Wi-Fi (無線LAN)
     
    簡単で素早く複数の無線LAN接続を切り替えることが可能になった。
     
  • Bluetooth機能統合
     
    メーカー個別のソフトウェアではなく、「Windows Mobile」プラットフォームの機能として、Bluetooth機能がサポートされた。Bluetooth機能の中で、「ダイヤルアップネットワーク」と「データ交換(Object Exchange)」プロトコルをサポート
     
  • 新しい Pocket Internet Explorerが搭載された
     
    新しい Pocket Internet Explorerでは、新たに下記のような機能がサポートされた。
    - XHTML basic
    - HTML 4.0
    - JSCript Version 5.5
    - WAP 2.0
    - WTLS

■ メッセージング機能と電子メール

 前項のネットワークとの接続性ほどではないかもしれないが、「Microsoft Windows Mobile 2003 Software for Pocket PCs」こと、「Pocket PC」シリーズが、他のOSを搭載したPDAに比べて優れている点の1つとして、メッセージングと電子メール機能がある。すでに、前バージョンの「Pocket PC 2002」でも、Microsoft Outlook、Exchange Server との同期機能を持ち、MSN Messenger、Windows Messenger とチャットすることができた。

 「Microsoft Windows Mobile 2003 Software for Pocket PCs」では、元々「Pocket PC」が得意としていた機能がさらに進化している。

  • Microsoft Exchange Server 2003のサポート
     
    まもなく登場予定の Microsoft Exchange Server 2003と組み合わせることで、「Always Up-to-Date」という同期機能と、電子メール通知機能を利用することができる。
     
  • 「連絡先」の項目検索の最適化
     
    「連絡先」の検索機能の強化。さらに早く目的の情報を探し当てられる。
     
  • SMS / MMSプラグイン機能
     
    SMS や、MMSといったショートメッセージング機能にプラグイン機能が利用できる。これは、携帯電話機能を内蔵した「Pocket PC Phone Edition」や、米国のGSM携帯電話との連動機能と思われる。

■ 多彩なメディア再生機能

 「Microsoft Windows Mobile 2003 Software for Pocket PCs」には、新しいアプリケーションとして「Pictures」が加わった。これは、デジカメ画像が記録されたCFメモリカードや、SDメモリカードの内容を手軽に扱うことができる機能だ。その他にも下記のような改良が施されている。

  • Pictures
     
    デジカメ写真や、画像のサムネイル一覧を表示したり、スライドショー表示、拡大・縮小が可能な他、画像の回転や、明るさ、コントラストの修正などを行うことができる。
     
  • Windows Media Player 9
     
    デスクトップ Windows 用の最新プレーヤー「Windows Media Player 9」でも採用されている、最新の Windows Media Audio 9、Windows Media Video 9 をサポートする。パフォーマンスも向上しているようだ。
     
  • The Plus! Digital Media Edition Pack
     
    「Pocket PC Plus! Sync & Go 機能」で母艦パソコン上に取り込んだビデオをPocket PCに同期できるほか、「Plus! Photo Story」機能で、写真とナレーション、音楽などを組み合わせた簡単なデジタルフォトアルバムを作成することが可能。一歩進んだ、オリジナルのデジタルアルバムを作って、Pocket PCで人に見せることができる。

■ プラットフォームとしての進化

 「Windows Mobile 2003 software for Pocket PCs」を搭載したデバイスを使ってもわかりにくいためあまり取り上げられていないように感じるが、従来の Pocket PC 2002が「Winodws CE OS Version 3.0」をベースに作られたものだったのに対し、今度の「Windows Mobile 2003」は、「Windows CE.NET Version 4.2」をベースに作られている。このため、「Microsoft .NET Compact Framework」などが搭載されるなど、マイクロソフト社の同社のアプリケーション開発環境にマッチしたものに進化している。

  • Microsoft .NET Compact FrameworkをROMに内蔵
     
    「Webサービス」をはじめとした、.NET Compact Frameworkのアプリケーションを標準で実行することが可能。.NET Framework は、C# とともに昨年デビューしたばかりのマイクロソフト社の最新アプリケーション開発環境だ。高い実行性能と、コーディングの効率さが特徴だ。
     
  • Visual Studio .NET 2003サポート
     
    最新の Visual Studio を利用してアプリケーション開発が可能。個人用のアプリケーションでは、あまり恩恵がないかもしれないが、企業向けの業務用アプリケーションを開発するなら効果も高い、「Webサービス」も利用することができる。
     
  • IPv6対応とIPSec/L2TPサポート
     
    現在のインターネットを構築しているIPv4の他、日本でもNTTコミュニケーションズ株式会社をはじめ、徐々に利用が広がってきている次世代インターネットプロトコル IPv6 や、IPSec/L2TPといったVPN機能もサポートされている。従来のPPTPも変わらずサポートされている。
     
  • Pocket PC 2002 との互換性もキープ
     
    Pocket PC 2002用に開発されたアプリケーションは、再コンパイル等の作業なしに「Pocket PC 2003」上で動作させることができる。ただし、すべてのアプリケーションについて保障されているわけではない点に注意しよう。
     
  • Connection Manager API
     
    GPRS、WAP、CSD 等をサポート。
     
  • 設定変更サービスのXMLサポート、インストールサポート
     
    XMLによるデバイス設定や、WAP Push経由のOTA、RAPI経由でのCABファイルインストールなどが新たに利用可能になった。

■ Pocket PC 2003は、Pocket PCの正統な進化形

 以上、まとめてみた率直な感想は、「Windows Mobile 2003 software for Pocket PCs」こと「Pocket PC 2003」というのは、2000年に登場した「Pocket PC」の正統な進化形だということだ。.NET Compact Framework や、IPv6、IPSecというような機能は必要としている人なら、Pocket PC 2003への買い替えの強い動機になるだろう。一方で、自分でシェアウェアや、フリーソフトを使って、自分なりに最適なスケジュール管理や、アドレス帳を使っているユーザーにとっては、Pocket PC 2003にアップグレードする動機は薄いだろう。

 一方で、米国で Pocket PC 2003にあわせて発表されたデバイスは、いずれも従来のものよりも薄くてスタイリッシュなデザインが強調されたものが多い。OS そのものよりも、OS のタイミングにあわせてリリースされる新ハードが魅力的なのだ。例えば、米国では、先日、発売されて大人気を博した「iPAQ Pocket PC h1920」相当のデザインで、Pocket PC 2003搭載のものが発表されている。この日本語版が登場すれば、スケジュールや、アドレス帳を中心に Pocket PC を利用しているユーザーにとっては、OS のアップグレードとは関係なしに買い替えの動機になるように思う。

 日本語版の発表までは、まだしばらく時間がかかるかもしれないが、7月中旬は、日本語版の「Pocket PC」発表からちょうど丸3年。その頃までには何か動きがあることだろう。



Reported by けいたん


Last-modified: Sun, 24 May 2009 23:45:30 JST (3101d)