新春突撃インタビュー 第1弾 2003年のPDAシーンを振り返る 前編

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2004年1月3日(土)版

新春突撃インタビュー 第1弾 2003年のPDAシーンを振り返る 前編

Windows Mobile 2003、iPAQ h2210、sigmarionIIIなど、2003年のPDAシーンを振り返る

  →第1弾 後編

■はじめに

2003年は、PDAにとって厳しい年だったと言えるだろう。これまではきっちりとすみ分けの行われていた携帯電話が、解像度のQVGA化、一部のPDAでしか実現していないメガピクセルクラスのデジタルカメラ搭載、メールやWeb閲覧、PIM機能の強化と、PDAにとって強力なライバルへと成長し、モバイル機器を携帯電話に一本化するユーザーも多かった。“モバイル”という言葉自体は、2002年以上に一般的なものになったが、PDA全体の売り上げは、決して好調とは言えなかった。

そんな中、2003年の6月には新たなOSである「Windows Mobile 2003 software for Pocket PC」の日本語版が発表された。無線LANへの接続がより簡易にできるゼロコンフィグレーション機能の搭載、入力パネルの進化による劇的な手書き認識率の向上、Xscale最適化によるアプリケーションの高速化と、魅力的なパワーアップを遂げ、東芝やカシオ計算機、日本HPからも新機種が続々と登場した。また、WindowsCE.NET 4.2を搭載したHandheld PC、sigmarionIIIも、その完成度の高さからコアなPDAユーザーの間で話題を呼んだ。市場全体の盛り上がりにこそ欠けていたが、WindowsCEシーン自体は大きな動きを見せていたのである。

WindowsCE FANスタッフは、PDAの真価が問われることになる2004年のPDAシーンがどのような動きを見せるのかを探るべく、マイクロソフト株式会社を訪問、2002年の新春インタビューでもご登場いただいた、同社モビリティマーケティンググループのマネージャ 倉石氏にお話を伺った。テーマはもちろん「2004年のPocket PC/WindowsCE」だ。

倉石さん
マイクロソフト社のモバイル部門を率いるマイホームパパ。取材時に伺ったのは、ちょうどクリスマスイブだったのだが、取材後に「子供にクリスマスの料理を作るために、そろそろ帰らなくちゃ(笑)」と話をされていたのが印象的だった

■2003年のPDAシーン

WindowsCE FAN スタッフ(以下、CE FAN):

まずは2003年のPDAシーンを振り返るということで、いろいろとお聞きしたいのですが。

マイクロソフト倉石氏(以下、倉石氏):

やはり、「PDAの市場がさびしかったなあ」というのが正直なところでしょうか。その要因はいろいろなところにあるんでしょうけど、デジカメ付きの携帯電話とか、「iPod」をはじめとするシリコンオーディオプレイヤーの盛り上がりだとか、同じ価格帯で動く製品が(市場に)出てきていて、PDAにそれを上回るような新しい話題性を持った製品が少なかったというのが一番の理由だと思いますね。

後もう一つは、僕らもマーケティングをやっていて凄く反省しているんだけども、一般ユーザーに対してメッセージを伝えよう伝えようと過去2年くらいやってきたんだけど、さっき言ったようなおもしろい製品が出てきたことによって、(同じ価格帯で)そこでぶつかっちゃったんですよね。もっとコアなユーザーやビジネスユーザーにシフトしてやっておけばよかったのに、そこでバチンとぶつかってしまった。そのために、僕たちが予想しているほど(一般ユーザーの)マーケットが動かなかった。

その反面、コアなユーザーのマーケットというのはちゃんと動いています。今は2万4,800円ですけど、2003年の夏に日本HPさんから「iPAQ h1920」が2万円台を切る低価格(キャンペーン価格で1万9,800円)で登場したり、ラインナップの拡充をしたりして、そこに人気が集まった。HPさんは在庫を切らせるという状況まで起こったわけです。まあ、HPさんは店頭ではなくオンラインで販売をしているので、一般のマーケットとしては見えづらいんですが、そういった(人気が集まるという)状況はあった。だから、そういう意味では、まだまだコアなユーザーの人たちには期待をもって使っていただいているな、と。ただ、これからのメッセージの出し方っていうのは、マーケティングする方もよく考えていかなくちゃいけないな、という気がしますよね。

CE FAN:

メインターゲットをコアなユーザーやビジネスユーザーにシフトしていくというのではなく、今後も一般ユーザーに幅広くプロモーションをしていくということでしょうか?

倉石氏:

いや、逆にもう少し使い方を絞ってもいいのかな、という“逆の反省材料”が出てきたわけですよ。要は、去年、一昨年なんかは、「アレにもなるし、コレにもなる。それをオールインワンでいかがですか?」ということを、各メーカーさんと一緒に機能の拡充をしていったわけです。でも結局、音楽プレイヤーだけ使いたい人であれば、iPodが欲しいわけですよ。つまり、PDAというソリューションじゃなくてもいいと。「PDA自体が持っている“コアなソリューション”って何なのか?」「PDAがユーザーに訴えかける“面白み”って何なのか?」っていうところ、ここにシフトしていかなくちゃいけないよね、という感じがすごくしています。

2002年から2003年にかけての僕らのマーケティング活動は、アプリケーションを充実させることを推進してきました。しかし、今年は、新しいOS(Windows CE.NET version4.2)のローンチがあったので、ハードウェアをいかに早く(ユーザーに)届けるか、というところにシフトしてしまった。アプリケーションの拡充というところ、特にOSがCE.NET 4.2というコアOSを使ったWindows Mobile 2003に変わったので、今までの3.0ベースからアプリケーションの構造とかがいろいろ変わっていて、この新しいOSをベースにした良いアプリケーションをはやく推進をしていかなくちゃならなかった。でも、まだそこまでいってなくて、メーカーさんがいつ(CE.NET 4.2を採用した)ハードウェアを出せるか、というところに終始してしまったんですよ。ハードが出遅れ、アプリケーションが後追いになることで、ユーザーさんが期待を持った時期に、ハードとアプリケーションを一緒に出せなかった。これは反省材料ですよね。

CE FAN:

既存の参入メーカーに加え、Pocket PC 2003では、日本ビクターが参入を発表しましたし、米国でPocket PC 2003を発売しているデルが国内参入するという噂もあります。これ以外にも手を上げているメーカーはあるのでしょうか?

倉石氏:

そうですね……企業向けというところではかなりありますよ。どうしてもマーケットの規模を考えると、ハードを作って大量にさばくというところをメーカーとしては第一義に考えないと……要するに、参入してくるということは、はじめから真っ赤な状態でというのはなかなか難しいので、ある程度規模を考えつつ、採算がとれるレベルでやっていきたいと。そうなると、どうしても企業向けの事業戦略をもとにやってくるんですよ。

実際、今も何社か「やりたい」と手を上げているメーカーさんがあります。ただ、もともとPocket PCというのは、業務向けのデジタルデバイスとしてデザインされていないんです。だから、どちらかというと……僕らの業界用語では“ホリゾンタル”と言うんですが、“普通のビジネスマンが使った時の最低限のソリューションを持っている”ということが製品のコンセプトになっているので、それを例えば、ガスの点検のようなメンテナンス業務とかに使うためだけにPocket PCを提供することって、「果たして正しいことなのかどうなのか?」と右往左往している部分はありますね。

だから、そういうメーカーさんの考えてるビジネスプランと、われわれの考えている「Pocket PCはこういうマーケットにしていきたい」というビジョンをうまくフィッティングさせて進めていきたいですね。まあ、これは昔からそうなんですが。

実際、アメリカではパナソニックさんも参入されてるんですよね。あまり日本では見えてこないですけど、日立さんとか、結構、日本のメーカーはPocket PCを採用してますよ。逆に、日本の家電メーカーでPocket PCをやっていないところは数社しかないという状況ですよ。

新春突撃インタビュー 第1弾
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Reported by WindowsCE FAN スタッフ


Last-modified: Sun, 24 May 2009 23:45:30 JST (4020d)