Windows Media Extender、Windows Media Connect、Portable Media Center、 マイクロソフトのHome PC戦略を追う

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2004年1月13日(火)版

Windows Media Extender、Windows Media Connect、Portable Media Center、 マイクロソフトのHome PC戦略を追う

International CES 2004 レポート: Bill Gates 講演


■ はじめに

 2003年以降、DVD/HDDレコーダーがお茶の間の人気商品になりつつある。テレビ画面のキャプチャや、HDDレコーダそのものは、2000年頃にはすでに存在していた商品だったが、VHSビデオ等との画質や使い勝手の違いが認知されるとともに、コストパフォーマンスが向上した、デザイン的にも優れた商品が揃ってきた成果と言えるだろう。

 そうした中、マイクロソフト社もまた、このトレンドを自社の Windows製品に取り込むべく、さまざまな努力を続けている。今回の CES2004のビル・ゲイツ氏の基調講演で発表された「Windows Media Extender」、「Windows Media Connect Technologies」と、昨年発表された「Portable Media Center」といった技術がそうだ。

 ここでは、一見何がどう違うのか分かりにくい、同社のHome PC戦略を俯瞰的に紹介していこうと思う。いずれも Windows OS、Windows Network、Windows Media Technologies といったコア技術と、同社の既存の技術を元に構成されている。

■ マイクロソフト社のHome PC戦略

 下記が、本記事のキーワードを1枚にまとめたものだ。同社のコンシューマOSである「Windows XP」と、その最上位バージョンである「Windows XP Media Center Edition」をコアにして、「Windows Media Extender」、「Windows Media Connect Technologies」、「Portable Media Center」の3つの製品群をマッピングしてある。

 それぞれの技術と、対応OSをまとめると下記のようになる。

 Windows XP Media Center EditionWindows XP Home Edition / Professional Edition / Tablet PC Edition
Windows Media Extender×
Windows Media Connect Technologies
Portable Media Center

 それぞれの技術とその概要を紹介しておこう。

◎ Windows Media Extender

 Windows Media Extenderは、今回のCES2004で初めて登場した新デバイスだ。Windows XP Media Center Editionの周辺機器として位置づけられている。提供が予定されているのは、Windows Media Extender(MCX)技術を内蔵したデジタルテレビ、既存のテレビモニタに接続することで、MCX対応のテレビにすることができるSTB、また、米国では人気の XBOX を MCXクライアントにする「Windows Media Extender Kit」の3つのタイプが発表されている。

 Windows Media Extenderは一言で言えば、「Windows XP Media Center Edition」搭載パソコンを親機とし、その親機を家庭内のテレビから操作できるようにしてしまうものだ。CES2004のデモでは、「Windows XP Media Center Edition」の「メディアセンターUI」経由で、親機内で受信しているテレビはもちろん、録画済のテレビ番組、Windows Mediaビデオ、デジカメの写真、WMA/MP3などの音楽再生などを行うことができる。また、Windows XP Media Center EditionのSDKに対応したアプリケーションや、サイトなら、リモコンだけで楽しむことができる。
 また、電子メールのチェックなどを行うこともできるようになると思われる。

 この「Windows Media Extender」は、技術的には、親機のパソコン上で再生した映像を、Windows Media Extender対応のデバイス上で再生すると推測される。そう、Windows XP Professionalに搭載されているリモートデスクトップの改良版を利用していると考えられている。接続は物理的なEhternetでも無線LANでも問題なく、TCP/IP上のRDP(Remote Desktop Protocol)というプロトコルで動作しているものと思われる。自宅外からも、VPN接続などを利用すれば、外出先から、親機パソコンに接続することもできるかもしれない。

◎ Windows Media Connect Technologies

 Windows Media Connect Technologies は、その名が示すとおり、具体的な製品をさしているわけではない。すでに世の中に存在している「Digital Media Receiver」と呼ばれる製品群の相互利用を可能にするための標準規格という位置づけである。

 具体的な製品ベースで見たときに、さきほどの「Windows Media Extender」とはどう違っているのだろうか。母艦PC内にある映像ファイルを選択し、再生する流れを例に「Windows Media Extender」と「Digital Media Receiver」の違いをみてみよう。

 母艦PC内にある映像ファイルを選択するメニューは、「Windows Media Extender」の場合、母艦PC内で組み立てられる。その上で、メニュー画面を画像として RDP (Remote Desktop Protocol)で、Windows Media Extender機器に転送してくる。このメニューを組み立てるのは母艦PCの「Windows XP Media Center Edition」なので、「Windows Media Extender」機器によらず、同じユーザーインターフェースが提供される。

 「Digital Media Receiver」の場合、UPnPで母艦PCを発見した後、母艦PC内のファイルリストを HTTP経由で取得する。その後、Digital Media Receiver内のプログラムで、メニューが作られて、表示される。このため、Digital Media Receiverのメーカー等によって、ユーザーインターフェースはまちまちなものになる。

 その後、映像の再生部分については、「Windows Media Extender」がどのような動きとなるかはクリアではない。RDPの場合には、母艦PCで映像が再生された結果が映像として、Windows Media Extender機器に転送されてくる。しかし、これは、伝送帯域的にみると有利とは言いがたい。このため、この部分については、従来のRDPではなく、何かしらの拡張がなされているということも考えられる。

 一方の Digital Media Receiverの場合には、ファイルを発見した後は、普通のファイルアクセス方法で、母艦パソコンからファイルを取得する。母艦パソコン側は、単なる共有フォルダがあればよい状態だ。

 すでに市場に出回っている「Digital Media Receiver」も、ファイル共有からファイルリストを選択し、母艦PCからファイルを読み出すという点では、「Windows Media Connect Technologies」規格のものと違いはない。現状は、こうしたファイルリスト取得などの仕組みは、各社独自のもののため、「Digital Media Receiver」同士の互換性はない。

 「Windows Media Connect Technologies」の肝なのは、このファイルリスト取得などの部分を標準化したことにある。「Windows Media Connect Technologies」が Windows XPに搭載されるのは今夏以降と言われている。この技術が導入されて、「Windows Media Connect Technologies」対応の「Digital Media Receiver」なら、どれも互換性が保たれることになるだろう。

◎ Portable Media Center

 最後がすでに昨年発表済みだった「Portable Media Center」だ。これは、WindowsCE.NETをベースに、マルチメディアプレーヤーとしてのUIや、アプリケーションを標準プラットフォームとして規定しているもので、Windows XPをベースとしたパソコンから、自由にデジカメ画像や、ビデオ映像を転送して楽しむことができるというものだ。

 ファイル転送の方法などの詳細は明らかになっていないが、USBまたは、Ehternet経由で母艦パソコンに接続されるものと思われる。

■ まとめ

 以上、エンドユーザーからみると、一見差異が感じにくい「Windows Media Extender」、「Windows Media Connect Technologies」、「Portable Media Center」の3つの規格・製品について、その裏側を現時点 (2004年1月)分かっている範囲で紹介した。

 マイクロソフトは、家庭向けのPC OSとして発表した「Windows XP」の後継機を 2006年まで発売しないと見られている。しかし、以上紹介したメディア技術はいずれも、Windows XPの拡張機能として、無償あるいは、周辺機器に付属する製品にバンドルされる形で提供されると見られている。考えようによれば、「Windows XP」をライセンスしているユーザーは、2006年まで発展し続けるOSをアップグレード料なしで利用できるわけで、なんともありがたい話である。

 使い勝手のよいDVD/HDDレコーダーの登場で、パソコンで画像を扱うと言うライフ・スタイル、利用スタイルは、今までよりもより活発になりそうだ。DVD/HDDレコーダの機種選定、あるいはDVD/HDDレコーダーに続く製品を購入する上で、こうした動向を抑えておくと少しはいいことがあるかもしれない。



Reported by けいたん


Last-modified: Sun, 24 May 2009 23:45:30 JST (3771d)