シャープ「Zaurus SL-C3000」スペシャルレビュー その 2

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2005年1月14日(金)版

シャープ「Zaurus SL-C3000」スペシャルレビュー その 2

最強進化を遂げた Linux ザウルス――ソフトウェアの使い勝手はどう変化した?

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■はじめに

前回はハードウェアを中心に紹介してきたシャープのキーボード搭載 PDA「Zaurus SL-C 3000」。ハードディスクの採用、キーボードの仕様変更と大幅な変更が行われた同機だが、果たしてソフトウェア面ではどうなのだろうか? すでに、SL-C700、SL-C750 / 760、SL-C860 と代を重ねてきているので、ソフトウェアに関しては語り尽くされている感があるが、SL-C シリーズの購入を初めて検討するという人も多いと思われるので、まずは標準搭載のソフトウェアに関して簡単に紹介しておきたい。

■標準搭載のソフトウェアは?

筆者が所有するのがSL-C760 であることは前回お伝えしたとおり。SL-C760 との違いでまず気付いたのは、「電子辞書」だった辞書ソフトが「マルチメディア辞書」になっている、SL-C860で標準搭載されていた「翻訳これ一本」、「ブンコビューア」「ファイル検索」などが追加されている(完全フォーマット時は CD-ROM から入れ直す必要あり)という点。このほか、「NetFront」のバージョンが 3.0 から 3.1 へとバージョンアップしているなど、ソフトウェアのアップデート・変更・追加が幾つか行われている。また、取り扱うファイル数の増加を見越してか、「ファイル検索」も追加されている。また、SL-C760 で標準搭載されていた Java 実行環境の「J2ME」は無くなり、「ボイスレコーダー」は 付属 CD-ROM からのインストールに変更になっている。

左側が SL-C760で、右側が SL-C3000 のホーム画面。ご覧のように、インターフェース的にはまったくといっていいほど変わりがない

■進化した「マルチメディア辞書」

SL-C760 に搭載されていた辞書ソフト「電子辞書」は、学研の「パーソナル国語」「パーソナル英和」「パーソナル和英」「パーソナルカタカナ」+漢字辞典を収録したものだったが、SL-C3000 の「マルチメディア辞書」では、「広辞苑 第五版」「ジーニアス 英和・和英辞典」に変更されている。入力バーに調べたい単語を入力すると、収録辞書すべてをくし刺し検索してくれるという点では変わりないが、SL-C760 では辞書ごとに用意されたタブを切り替えて結果を見るのに対し、SL-C3000 では、すべての検索結果が一つのウインドウに表示され、その結果を選択することで、結果の右側に詳細な内容が表示される。“マルチメディア”と銘打っているだけあり、図版の表示、一部英単語の音声読み上げ(スピーカーアイコンの表示されているもの)機能など、専用の電子辞書顔負けの機能を有している。従来機の辞書は実用性一本槍な印象もあったが、今回の辞書に関しては、“辞書を見ること自体を楽しめる”ようになっているのではないだろうか。

また、文字列を選択した状態で、液晶右下にある辞書アイコン(本が開いた状態の絵が描かれたアイコン)をタップすることで、(辞書未起動状態から)そのまま辞書検索を行ってくれるなど、ほかのアプリケーションとの連携も考慮されている。ちなみに、辞書データは“EPWING”と呼ばれる電子出版の共通フォーマットが使われている。この EPWING 形式を採用した辞書ソフトは膨大な数が発売されているため、これらのデータを導入することで、専用の電子辞書を上回る辞書環境を作り上げることも可能だ。

前機種の味気ない画面と異なり、カラー図版が表示されるのはかなりうれしい。図版のすぐ下にあるのがスピーカーアイコン
収録されている辞書は二つ。画面では三つ表示されているが、一つは広辞苑の付属資料データだ

■マルチメディア再生環境も大きくパワーアップ

音楽の再生環境が向上しているのも見のがせないポイントだ。おなじみの音楽再生ソフト「Music Player」が、初めて WMA(Windows Media Audio)形式の再生に対応した。WMA 形式に対応したことで、Windows マシンの「Windows Media Player」で CD をエンコードし、そのまま USB で接続した SL-C3000 に放り込んで持ち出すという、極めてお手軽なミュージックライフが堪能できる。最近はハードディスクを搭載した専用のオーディオプレーヤーも登場してきているが、SL-C3000 も 4GB という大容量ハードディスクを搭載しており、高ビットレートの楽曲を数百曲収録できる。数万円出して専用プレーヤーを追加購入する必要がないというのはうれしい限りだ。

ファイルのプロパティを見れば分かるとおり、ちゃんと Windows Media Audio が認識されている。圧電ブザーからスピーカーに変更されているので音質も上々

MPEG4(ASF)形式の再生が可能な動画再生ソフト「Movie Player」に関しては、一見、前機種からの変更が見られないようだが、MPEG1 形式や MPEG2 形式のファイルも再生が可能となっている。MPEG1 形式に関しては、320×240 ドット / 560kbps / 24FPS のものを実際に再生してみたのだが、Axim X30 などの 高速な Pocket PC ほど滑らかというわけにはいかないまでも、さほど視聴に問題のないレベルで再生された。初代の SL-C700 でもサポートされていた MPEG1 は、それなりに高いビットレートでも CPU への負荷が少ない形式だが、その分ファイルサイズが大きくなるという問題を抱えていた。しかし、SL-C3000 の 4GB(出荷時に辞書データなどがインストールされているので、実質は約 2.9GB)というストレージ領域があれば、こうした問題も解決する。

今回再生に使用した MPEG1 形式のファイル。特別なビデオチップなどを搭載していないためか、若干のコマ落ちが見られた

ちなみに、Movie Player では、シャープ製の液晶テレビ「AQUOS(アクオス)」の SD や CF スロットを搭載したモデル(MEMORY CARD B5 line / B3 line シリーズなど)や、テレビ・ビデオサーバー「Galileo(ガリレオ)」で録画した MPEG4 形式の動画ファイルが再生可能だ。AQUOS の場合、モバイル端末向けの設定“ポータブル”で録画しておけば、256MB で最大約 1 時間、5GB であれば最大約 25 時間も視聴できる。テレビ番組などを持ち出して視聴する方法としては最も手軽と言えるのではないだろうか(録画した MPEG2 ファイルを MPEG4 形式にエンコードするという流れなので、録画後にすぐ取り出すというわけにはいかないが……)。また、Galileo の場合は、外出先からネットを介して SL-C3000 でアクセスし、録画予約や予約確認も行える。

一つ残念なのは、PC から SL-C3000 を USB ストレージとして認識させる“ザウルスドライブ”機能で、ファイル転送に使用する USB のバージョンが 1.1 だということだ。現在主流となっている USB 2.0 に比べると転送速度が遅いため、サイズの大きな動画を転送するには若干時間が掛かる。また、ザウルスドライブを使用する際に、すべてのアプリケーションを終了する必要があるのもやや面倒に感じた。

■フォトストレージとしての SL-C3000

意外に便利になのが、フォトストレージとしての使用だ。SL-C3000 は、SD / CF のダブルスロットを搭載している。現在市場に出回っているデジタルカメラの多くは、SD か CF のいずれかをメディアとして採用しているため、撮影したその場で SL-C3000 にメモリを差し込み、高解像度の液晶で撮影データを閲覧することができる。もちろん、こうした使い方は前機種でも可能だったが、すさまじい速度で高解像度化していくデジタルカメラの撮影データを表示するには、容量的に役不足だった。その点、大容量のハードディスクを搭載する SL-C3000 であれば、何の問題もない。

液晶の美しさに関しては他の PDA の追随を許さない SL-C ザウルス。フォトビューアとしてはピカイチの存在だ

■オフィスワークにも対応

扱いとしては最後になってしまったが、もともとビジネスツールとして発展してきたザウルスシリーズだけに、オフィスワークにもきっちりと対応している。搭載されているオフィス系ソフトウェアは、SL-C シリーズではおなじみの「HancomWord」と「HancomSheet」。その名のとおりマイクロソフトの Word や Excel 形式のファイルが閲覧・編集できる。PDF に関しては、付属 CD-ROM に収録されている「PDF Viewer(=qpdf)」ですぐにでも閲覧が可能だが、別売りの「Picsel Browser for Zaurus」を購入しておけば、PDF だけでなく、PowerPoint や HTML、画像、Windows メタファイルなど(もちろん、Word や Excel も)が閲覧できて非常に便利だ。価格が 1 万 3,800 円と高いため、気軽に購入するというわけにはいかないが、オフィス系ファイルの再現性の高さは群を抜いているので、仕事でバリバリと使いたい人は押さえておくといいだろう。

スタイラスだけで拡大・縮小などの操作が快適に行える「Picsel Browser for Zaurus」。Web ブラウザとしての使い勝手は今一つなのが残念

■最後に

今回はデフォルトでインストールされているソフトウェアを中心に紹介してきた。これだけでもビジネス、エンターテインメントなどのさまざまな利用シーンに耐えうる過不足のない使い勝手なのだが、インターネット上で配布されているフリーウェア、シェアウェアなどを追加することで、使い勝手はさらに高まる。次回以降は、こうしたソフトウェアの追加導入によるカスタマイズや周辺機器の活用、PC との連携について触れる予定だ。



シャープ「Zaurus SL-C3000」スペシャルレビュー その 2

Reported by タカシゲ


Last-modified: Sun, 24 May 2009 23:45:30 JST (3765d)