“愛・MATE”活用の実態とは? 関係者直撃インタビュー 前編

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2005年5月16日(月)版

“愛・MATE”活用の実態とは? 関係者直撃インタビュー 前編

【愛・地球博】愛・MATE in 愛・地球博――こんな感じで使ってます

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■はじめに

 Windows Mobile を搭載し、PDA ユーザーから注目を集めている端末「愛・MATE」――。同端末は、経済産業省からの委託事業として、博覧会協会が博覧会において実施している事業だ。端末のベースは KDDI が制作し、その上に、それぞれの事業に応じたアプリケーションが構築されている。“愛・地球博”向けに製造されたのは、通信機能付きのオレンジが 3,800 台、通信機能無しでミューチップリーダーを搭載しているブルーが 1,200 台の計 5,000 台。すべて博覧会の会場で使われている。今回は、日本館で使用しているアプリケーションの開発を手掛けたアサツー ディ・ケイの坂野氏と、日本国際博覧会協会の松本氏に、愛・MATE についていろいろとお話しを伺った。

■プロフィール

坂野 泰士(ばんの やすし)
株式会社アサツー ディ・ケイ 2005 年日本国際博覧会政府出展事業推進室 サイバー日本館・担当プロデューサー
松本 弘行(まつもと ひろゆき)
財団法人 2005 年日本国際博覧会協会 政府出展管理・調整室 課長代理

■開発のしやすい Windows Mobile

WindowsCE FAN(以下、CE FAN):

今回、なぜ愛・MATE に Windows Mobile を搭載したのかについてお聞かせ願えますか?

松本氏:

これは、開発のしやすさというところに尽きると思います。とにかく短い開発期間でやらなければいけなかったですし、マルチベンダーというのもありましたので、汎用性のあるものを利用したかったということですね。

CE FAN:

このような端末の構想はいつごろからあったのでしょうか?

坂野氏:

愛・MATE に載せるかどうかは別にして、ハイブリッド観覧サービス的なものは以前から企画がありまして、どういう形で、どのマシンの上でやるかというのをずっと検討してきました。その流れの中で、愛・MATE の話が出てきたので、「じゃあ、そのプラットフォームに統合していこうか」ということになりました。

松本氏:

日本館もそうですが、経済産業省の予算で行っている事業ですので、共通のプラットホームを使うというのは、自然の成り行きでしたね。

CE FAN:

日本館向けのアプリケーションの開発にはどの程度掛かったのでしょうか?

坂野氏:

正式に愛・MATE の最終機が出てきたのは今年の 3 月に入ってからなんですが、開発の途中段階から KDDI さんといろいろ連絡を取り合ってきてますね。

松本氏:

本体の開発には 1 年程度掛かっているのですが、もし Windows Mobile を使っていなければ、1 年未満でこれだけいろいろとアプリケーションを搭載して、実際にフィールドに投入するところまではいかなかったでしょうね。

CE FAN:

つまり、アプリケーションの開発は 1 年未満だということですね。

坂野氏:

アプリケーションの開発自体は、もっと短期間でできました。

松本氏:

実際は、ブラウザなどの基本アプリを搭載した後も、多少はバグなどの修正箇所が出てきていますので、日本館でそういうところをすり合わせながらやってきた部分も含めての期間です。アプリケーション単体でみれば、もう少し短い期間になりますね。

CE FAN:

日本館で使われている愛・MATE は、何台程度なのでしょうか?

坂野氏:

全体で 800 台ですね。オレンジが 500 台で、そのうちの約 400 台が内線電話やアテンダント(=長久手日本館・瀬戸日本館で来館者への接遇業務を行うスタッフ)用に使用しています。これは長久手日本館と瀬戸日本館、両方を合わせた数です。それ以外は、バリアフリー――音声ガイド用に 100 台、補助的にブルーの方も 100 台を使っています。残りの ブルー200 台は、“どこでもニッポンカン”というサービスに使っています。

松本氏:

5,000 台中の 800 台を使っていますので、日本館が愛・MATE の最大ユーザーということになりますね。

CE FAN:

今までになかった端末ですが、知識のない方が使われるためのインターフェース作りにはやはり苦労されたのでしょうか?

坂野氏:

アテンダントの場合は、極めてパッシブ(受動的)な使い方が中心になるので、パッシブに考えないで使えるものを――というのが基本ですね(笑)。能動的に操作をするというのは、業務上あり得ないので。

CE FAN:

基本的には受信端末だということですか?

坂野氏:

そうですね。日本館の場合は受信端末です。

松本氏:

協会職員ですとか、外を回っている日本館以外のアテンダントの場合は、(習熟の)レベルがバラバラですから。中には携帯電話を使ったことがないという方もいらっしゃいます。そういう方に満遍なく使って頂くというのは、なかなか難しいですからね。

CE FAN:

日本館の現場ではどのような使い方をされているのでしょうか?

坂野氏:

愛・MATE にはページャー(=ポケベル)的な機能のアプリがインストールされていまして、運営側がある特定の個人や全員にショートメールが出せるんですよ。それをアテンダントが一方的に読むだけというのが、実はメインの使い方ですね(笑)。

それと、内線通話専用の VoIP ですね。もちろんこの端末には通信機能が入っているのですが、それは利用せずに、VoIP だけで通話をするようにしています。当然ですが、通信機能を使うと、通話料金が掛かりますので。アテンダント数百人が自由に通話してしまうと、収拾がつかなくなりますからね(笑)。このほかの機能としては、Internet Explorer を使ったグループウェアもサービスしています。用途としては、主に回覧板とスケジュール帳の共有ですね。

ちなみに、VoIP は、アメリカの SymPhone™ のものを採用しました。コールマネージャーには、CISCO(シスコ)のものを使っています。これは、Windows Mobile を使った VoIP は、日本ではまだ少ないので、アメリカ製のアプリケーションを入れるしかなかったという理由からですね。

CE FAN:

バッテリの持ちはどうですか?

松本氏:

アプリケーションによって異なりますが、普通の使い方ですと、外回りで 1 日持つ程度ですね。

CE FAN:

1 日の業務を終えてから充電するという感じですか?

坂野氏:

そうですね、通話があまりない場合ですが。

松本氏:

無線 LAN を使うアプリケーションの使用頻度が高いと、やはり 1 日持たせるというのは厳しいですね。

坂野氏:

日本館のアプリケーションは特に厳しいですね。ミューチップリーダーを使い続けたり、無線 LAN をつなぎっぱなしにしたりすると、3〜4 時間程度持つか持たないかという状態です。実際の運用では、1 時間程度で充電済みのものに交換させています。

CE FAN:

つまり、博覧会で使用されている愛・MATE の台数が多いのは、交換用の台数も含めて、ということでしょうか?

坂野氏:

それもありますね。特に日本館というのは、ヘビーなアプリケーションが多いので(笑)。

松本氏:

外回りのアテンダントの場合は、基本的に 1 日の業務が終わった時点で充電というサイクルになっています。どうしてもバッテリが厳しいという場合に備えて、予備のバッテリチャージャーを用意しています。

CE FAN:

アテンダントが常に予備のバッテリを持ち歩いていると。

松本氏:

いえ、そこまではしていないですね。基本的に 1 日の業務が終わった時点で、と考えていますので。バッテリが厳しいという人にだけバッテリチャージャーを貸し出して、自分で充電して頂くということです。





“愛・MATE”活用の実態とは? 関係者直撃インタビュー 前編

Reported by タカシゲ


Last-modified: Sun, 24 May 2009 23:45:30 JST (2986d)