 「Gryphon」と名付けられた Palm-size PC 用の WindowsCE OS は、伝説上の生き物の名前からつけられた。「Gryphon」 は、鷲の頭と、羽を持ち、ライオンの胴体を持つ。続くコードネーム「Wyvern」は、2本足のドラゴンで、尾にはとげがあった。 今、新しいマイクロソフトの最新の PocketPC のコードネームを「Merlin」とした。これは、キングアーサー伝説の中の魔法使いだ。 しかし、魔法から離れて、多くのコンシューマーはというと、「WindowsCE」という単語と「PocketPC」という単語によって紛れもなく混乱している。 マイクロソフトの Derak Brown によれば、WindowsCE OS と PocketPC の違いは、とてもシンプルだ。 「WindowsCE は、何(百)種類ものデバイスで使われる OS だ。PocketPC から、ハンドヘルドPC、ガソリンスタンドの給油機まであらゆるデバイスで使われている。」 Brown は、最近の Brighthand の掲示板の中で下記のように語った。「WindowsCE を、他の Windows ファミリーのデスクトップ OS や、サーバーOS と同等に考えてはいけない。WindowsCE OS は、CD-ROM に入っていて、デバイスに自分でインストールできるようなものではない。WindowsCE は、それぞれのハードウエアプラットフォームのために構築しなおす必要があり、そのためには開発ツールを必要とする。特別なプラットフォームというのは、ユーザーインターフェース、ドライバ、API、プロセッサなどだ。WindowsCE OS 自体は、まず何もできないので、最初に WindowsCE OS をビルドしていやる必要がある。 「PocketPC チームは、WindowsCE OS を採用し、PocketPC リファレンス・プラットフォーム上に、独自のバージョンを作り上げた。また、その上に数多くのアプリケーションソフトを加えている。この PocketPC ソフトウエアは、ハンドヘルドPC の動いている WindowsCE や、他の WindowsCE ベースの機器とは異なるものだ。片や、キーボードをサポートしており、片やサポートしていない。 ◎ わかりましたか? そう、PocketPC ソフトウエアは、WindowsCE OS を含み、PocketPC ユーザーインターフェースを持ち、API やハードウエアリファレンスプラットフォーム向けのドライバを含んでいる。また、ハードウエアデザイン、Pocket Word や Windows Media Player などのアプリケーションを含んでいる。 ◎ それでは、コードネームの話題に戻そう 最初に述べたとおり、次期バージョンの PocketPC のコードネームは「Merlin」という。また、次期バージョンの WindowsCE OS のコードネームは、「Talisker」という。(マイクロソフトの) Brown によれば、マイクロソフトは、Merlin が、どちらのバージョンの WindowsCE OS 上で動くかはまだアナウンスしていないという。 ◎ Talisker の新しい点 マイクロソフトによれば、Talisker は、セキュリティ機能を強化 (Kerberos 認証、SSL のサポート) し、ワイヤレスネットワークや、ネットワークのコネクティビティを強化(Bluetooth のネイティブサポート) する。また、Universal Plug and Play (UPnP) をサポートし、新しい USB ドライバもサポートする。(この USB サポートは、「Media Sense」と呼ばれている機能で、機器のオーナーが、どんなタイプのネットワークが利用可能かを知ることができる) また、マルチメディア機能が強化され、DVD サポートが行われる。そして、ユーザーインターフェースがさらに使いやすく改良され、Talisker が製品を開発し、市場に投入するまでの期間が短くなる効果ももたらすという。 また、Talisker は、より「モジュラー」になる。マイクロソフトの製造パートナーは、どのコンポーネントを利用するかを選択することができるようになる。(※ WindowsCE FAN スタッフ注: これまでの WindowsCE OS もこうしたコンポーネントの選択は可能であったが、切り離せないコンポーネントも多かった。その部分が、よりキレがよくなるということのようである) ◎ Merlin の新しい点は? Brighthand の情報では、Merlin (あるいはオフィシャルには「Pocket PC 2002」と呼ばれるとうわさされている) は、Talisker よりも、既存の WindowsCE Version3.0 上にビルドされる可能性が高い。また、興味深い情報として、Merlin は、ARM プロセッサしかサポートしないと言われている。また、この噂を裏付けるように、カシオや、ヒューレットパッカードがコンパック、東芝、UR と同様にインテルの StrongARM プロセッサを採用するという。こうした変化自体が、Palm は、シングルプロセッサ・アーキテクチャであるがゆえに、ソフトウエア開発や、周辺機器の開発で本質的に有利であることを示している。 下記に、Merlin のグラフィカルユーザーインターフェース (GUI) を掲載した。Merlin では、ついにアプリケーションが終了できるようになった他、デスクトップのカスタマイズが可能となった。 下記は、Brighthand で掴んだ、その他の新機能である。 - 新しい XPスタイルの Look & Feel、"bubble" と呼ばれる吹き出し式のダイヤログが採用されている
- 新しい「受信トレイ」クライアント
- マルチプルフォルダのサポート
- 手書き文字認識 - グラフィティ(Palm の認識手段) に似たデータ入力エリア
- HTML3.2 の振るサポート、HTML4 タグの一部サポート
- 遅延が大きく、遅い接続にも最適化されたネットワーク接続機能
- インスタント・メッセージクライアント
- ターミナルサーバークライアント
- スペルチェック機能
- WAP 対応ブラウザ
- File Explorer での共有フォルダサポート
- PPTP
- Obex のサポート (?)
- ビデオとストリーミングに対応した Media Player
- DRM 対応の(電子書籍)ブックリーダー
- マイクロソフトによる ROM Upgrade
我々は、この新しい PocketPC が 2001年末から、2002年の新しいうちに登場すると考えている。 © Copyright 2001 Brighthand Consulting, Inc. All rights reserved. ※ 本記事は、brighthand の Steven G. Bush の許可を得て、WindowsCE FAN で翻訳を行ったものです。
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