PHSデータカードで疑似無線LANを構築しよう(後編)

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2001年9月17日(月)版

PHSデータカードで疑似無線LANを構築しよう(後編)

iPAQでも今すぐ無線ネット

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前回は接続の概要について解説したので,今回は具体的な利用手順を見ていこう.

■必要な機材

・何らかの手段でネットワークに接続されており,なおかつPC CardかCFが1枚挿入可能なスロットが空いている,Windows2000 稼働中のPC x 1台
今回は,ルーターでフレッツADSLを利用して常時接続されているデスクトップPCを利用した.とにかく何らかの手段でネットワークに繋がっていればよいので,CATVでも,実はアナログモデムでもOKだ.

・データカード型PHS端末 x 2枚(OSモードの子機)
要は P-in や P-in Comp@ct のことである.H"のPCカード型端末でも使用できるという情報もあるが,現時点では未確認.ここでは P-in と P-in Comp@ct を一枚ずつ使用する.

・PHSデータカードを子機登録できる端末(OSモードの親機)
Atrem IWX70 などのワイヤレスTAや,P-Link 機能を搭載したパルディオ632Pや P-Link Station のこと.ここでは パルディオ632P を使用した.

なお,接続する PDA は iPAQ を利用したが,他のマシンでも同様にして使用可能だ.

今回使用した機材.未確認だが,P-in m@sterでも代用可能だと思われる
P-in Comp@ctなので,無線 LAN カードよりもかなりコンパクトだ

■上記端末の入手方法

今回使用するPHS端末は,いずれも契約している必要はない(つまり,いわゆる白ロムでもOK).白ロムを普通にショップで買うことはできず,パルディオ632Pも地域によってはかなり高価なようだが,Yahoo!オークションではP-inシリーズの白ロムは常時多数出品されているので,安く入手したければオークションを利用するのも一つの手だ.
なお,筆者が入手した時点では,オークションでの相場は P-in が3000円前後,P-in小が5000円前後,P-Link Station が7000円前後といったところのようだ.

■手順

1.データカード型端末を親機に子機登録する
この方法については,親機によって手順が違うため,それぞれの機種のマニュアルを参照のこと.パルディオ632P では,子機端末をパソコンに挿し,パソコンの「ハイパーターミナル」からコマンドを打ち込むことで登録できる.試していないが,CE のターミナルや,ザウルス用子機登録ソフトを利用しても登録可能らしい.なお,この登録が完了した後は(トランシーバモードを利用する限り)パルディオ632Pや P-Link Station は不要である.
今回は,母艦に使用する P-in を内線番号「1」,P-in Comp@ct を内線番号「2」に設定した.

2.データカード型端末の動作モードをトランシーバモードに変更
動作モードの変更には,ドコモから配布されている「P-in Comp@ct 環境設定ソフト」や「MobileCardP-in ダイヤラーソフト」を利用する.これらのソフトを使用することで,公衆・OS・トランシーバのモード切替が簡単に行えるが,P-in は基本的に Windows9X 系の OS でしか上記設定用ソフトが動作しないので注意が必要だ.いろいろなマシンで頻繁にモード変更を行う場合は,P-in Comp@ct を利用した方が圧倒的に使い勝手がよい.

3.Windows2000 で「着信接続」の設定を行う
スタートメニューの「設定」→「ネットワークとダイアルアップ接続」→「着信接続」から設定が行える.設定の前に,利用するカードを挿してドライバのインストールを行っておかなければならないので注意.
まず,「全般」タブの「着信接続を許可するデバイス」で,使用するデバイスにチェックを付ける.
次に,コントロールパネルの「管理ツール」→「コンピュータの管理」→「システム ツール」→「ローカル ユーザーとグループ」→「ユーザー」でユーザーを追加する.一応,今回の接続のために新しくユーザーを作成するといいだろう.
では,「着信接続」に戻る.「ユーザー」タブを見ると,「接続を許可するユーザー」の中に,先ほど追加したユーザーがあるはずだ.そのユーザーにチェックを付けよう.

パソコン側に挿した端末が親機となるため,着信接続を許可する必要がある
着信接続用に,新しくユーザーを設定しよう.ファイルのアクセス権等にも注意するべし

これでパソコン側の設定は終わりだ.なお,パーソナルファイアウォールを利用している場合は,一度フィルタリングやポートによるアクセス制限を切るか,パケットが子機側に通るように設定を変更しておく必要がある.

4.データカード型端末を挿すマシンで,接続の設定を行う
これは,普通のプロバイダー接続の設定とほとんど変わらない.ダイヤル先には「1」を,ユーザー名・パスワードには上記で設定した内容を入れればよい.

上記の環境設定ソフトを起動したとき,上記のような状態になっている必要がある
作成した内線接続設定の一例.*ここで使用したiPAQは英語版です

5.接続完了!
設定後,接続ボタンを押すとパソコンに挿入されたデータカードに内線通話が開始され,認証が終了次第 LAN 及びインターネットに繋がった状態となる.論理的には普通に LAN に繋がっている状態と変わらないので,ActiveSync を行うことも可能だ.
接続に成功すると,P-in Comp@ctのインジケータが写真のように点灯する.わかりにくいが,左が赤,右がオレンジだ

■もう一つの隠れた意義

前回解説した以外に,この接続方法にはもう一つの意味がある.それは,前回短所として挙げた「接続のためにはダイヤルしなくてはならない」というまさにその点が長所として働く場合だ.どういうことかというと,PDAやソフトによっては,イーサネット接続に対応していないものがある.PDAの一例としてはザウルスアイクルーズ等が,ソフトの一例としてはシグマリオン2に搭載された AutoWebRecorder 等が挙げられるのだが,通常では有線にせよ無線にせよLANカードが使用できない.そのため,通信費を気にせずネットワークにアクセスできる手段が非常に限定されてしまうのである.その点,以上で解説したPHSトランシーバモード接続では形式上通常のダイアルアップ動作を経るため,前述の接続方法における制限を突破できるのだ.これまで「わざわざ携帯電話やPHSの通信費をかけても使いたい」とまでは思わなかったようなPDAやソフトも,常時接続が可能になれば試してみることができる.その意味では,無線LANを超えた運用性を持っているといっても過言ではないかもしれない.





PHSデータカードで疑似無線LANを構築しよう(後編)


Reported by square


Last-modified: Sun, 24 May 2009 23:45:30 JST (2861d)