Pocket PC のブラウザ、NetFront3.0なら ここまでできる!(ただしOEM提供のみ)

このページをDeliciousに追加 このページをはてなブックマークに追加 このページをYahoo!ブックマークに追加

2001年9月24日(月)版

Pocket PC のブラウザ、NetFront3.0なら ここまでできる!(ただしOEM提供のみ)

過去最大級の出展数だった WORLD PC EXPO 2001 レポート

 ↑↑WORLD PC EXPO2001↑↑ 


■ はじめに

 インターネットを日本でより一般的にしたのは、NTTドコモの iモードの功績によるところが大きい。さらに、携帯電話各社はもとより、カーナビや NTT東日本・西日本の Lモードといった簡易インターネット端末が続々登場している。パソコンの世界では、マイクロソフトの Internet Explorer シリーズというブラウザが圧倒的なシェアを持っているように、こうしたメジャーなインターネット端末にもメジャーなブラウザがある。それが、これから紹介する「アクセス」という会社の「NetFront」シリーズである。

 ブラウザというのは、HTMLで記述されたテキストファイルをレンダリングし、表組みを作ったり、あたかも雑誌のような美しい画面を作り上げたりする機能を持つ。厄介なのは、対応している HTML が一種類で、これで決まり!というものではないことだ。W3C で標準化されているバージョンだけでも、HTML1.0、HTML2.0、HTML3.2、HTML4.0 とタグの種類、それぞれのタグの働きに違いがある上、Microsoft Internet Explorer 系と、Netscape Navigator 系で、独自に拡張されたタグがあるなど、非常に面倒なことになっている。

 こうした背景の中で、WindowsCE 用の「NetFront」シリーズは、まだ WindowsCE用の Pocket Interet Explorer の機能が低かったころ、各社のハンドヘルドPC にバンドルされていたブラウザだ。初期の NEC のモバイルギアシリーズなどに添付されていたのが有名だが、Palm-size PC では、カシオのカシオペア・シリーズに、Pocket PC になってからは、iPAQ Pocket PC にバンドルされるなど、今なお健在である。その後、あまり気にかけていなかったのだが、今回登場の「NetFront3.0」を見るにつけ、その進化にはかなり驚かされるものがある。

■ 最新版「NetFront3.0」は、パソコン用「Internet Explorer5.0」に負けない高機能・高再現性

 この「NetFront」シリーズは、後述するように、多くの機能をレイヤごとにコンポーネント化し、必要な機能に応じて、どのような小さいメモリサイズにでも対応できるようになっている。HTML 以外の Java Script や、CSS などの機能を、利用するコンピュータの性能に合わせて選択することが出来るわけだ。

 まだ完成品ではないようだが、「WORLD PC EXPO 2001」の会場では、NetFront3.0 の全体のうち、Java VM を省き、Java Script と、HTML4.0 (CSS1, CSS2, DOM を含む) 部分をサポートした「NetFront3.0」が iPAQ Pocket PC 上で、見事に動作していた。

 同社のパネルによれば、下記のような特徴をもっているらしい。

  • HTML4.01 (XHTML1.0、XHTML Basic 1.0)
  • HTTP Cookie フルサポート
  • CSS1および CSS2 の一部 (CSS:カスケードスタイルシート)
  • Java Script1.5サブセット
  • DOM Level 1、DOM Level 2 および Dynamic HTML の一部
  • HTTP1.1
  • SSL ver 2/3、TLS1.0
  • SMTP、POPメーラー
  • 国際化対応
  • 高性能、高メモリ効率、省電力

 HTML、HTTP1.1、SSL や、Cookie が使えるというのは、いまやユーザーからみれば当然の機能。Java Script に対応しているのも優れているが、Pocket Internet Explorer でも対応している。すごいのは、ここからだ。まず、表現力の点で、CSS1 を完全にサポートしているとうたっている。次に、HTML の動的な書き換えをサポートする Dynamic HTML、DOM Level1、Level2 をサポートしているという。ここまでサポートしていれば、画面の大きさはともかく、ほとんどのサイトが普通に見えるはずだ。Pocket Internet Explorer で妙に見えた点はほぼ修正される。足らないのは、Java プラグインと、Shockwave Flash くらいだろう。

 また、企業などで、業務用に Pocket PC を使いたい場合には、「NetFront v3.0」はかなり便利に使えるはずだ。業務で使えるモバイル環境といえば、高速なものでも PHS 64Kbps 接続程度となる。FOMA がくれば 384Kbps まではいけるといっても今度は通信料が心配だ。
 そういう環境の中では、いかに Pocket PC ローカルでいろいろな操作を実現できることが、企業システムのユーザーの生産性を向上する鍵になる。こうした、優れた UI を持つシステムを開発する上で、DOM や Dynamic HTML のサポートは欠かせないものだ。

 これらを、Pocket PC 上で実現してしまった、アクセスの技術力には改めて敬服するしかない。

■ デモもばっちり動作中

 高機能とはいえ、実際のところ、「NetFront v3.0」はどの程度使えるのか? これを実証するのが、iPAQ Pocket PC 上で動いていたデモ。代表的なものをここで紹介すると、下記のようなものがある。

凝ったレイアウトのニュース風画面
CSS にフルに対応していればこそ
インラインフレームタグに対応
風船が中央に固まっているのが見える
風船が飛んでいってしまった。Flash ではない。

 順に説明していくと、まず最初は、<IFRAME>タグをサポートしていることを示している。ブラウザで表示しているページの右上に、小さなインラインフレームウインドウが開いていて、独自のスクロール窓が見えるだろう。また、これが単なる <TEXTAREA>タグでないことがわかるように、中には画像が表示されている。

 次は、ニュースページのような派手な画面である。しかし、細かく言えば、左上の「Net Front v3.0」という文字は GIF を使わず、テキストとタグだけ で実現されている。文字の大きさとフォントを指定し、さらに背景に画像をはめ込み、3次元に重ね合わせている。さらに、右側の青い背景のウインドウをみると、そのウインドウの下に影があるのがわかるだろう。これも CSS の機能だ。

 さらに、圧巻なのが、このパリのエッフェル塔を背景に、たくさんの風船が飛んでいくデモ。左と右をみてもらうと、風船が飛んでいった様がわかるだろう。もちろん、20個程度の 透明GIF で書かれた風船を飛ばす処理は、iPAQ Pocket PC にとって、そんな軽い処理ではない。(Strong ARM 206MHz というクロックをパソコンに当てはめて、4年前の MMX Pentium 200MHz のパソコンで動かす IE4.0 などを思い出せばわかるだろう) しかし、1秒に1コマ程度の速度では動作している。アニメーション効果などをバリバリに使えるというわけではないが、十分「動く」「使える」といって差し支えないレベルに達している。

 この他にもいくつかのデモがあるが、こちらのページに示したので、興味のある人はぜひ、じっくり「NetFront3.0」の機能・再現性を味わってほしい。

■「NetFront v3.0」の操作感

 WORLD PC EXPO 2001 の展示会場では、この NetFront v3.0 が iPAQ Pocket PC 上で動作していた。Back などのページの切り替えや、新しい URL へのジャンプなどは、Pocket Internet Explorer の方が体感上速いように思った。ページのスクロールは、Pocket Internet Explorer とほぼ同速度だ。ほぼ同速度ということは、この間に、Java Script をがりがり動かして、アニメーションなどを動かせる NetFront v3.0 は「よくできたブラウザ」ということになる。
 NetFront 独自のナビゲーションアイコンも、慣れるまでは一瞬の間が必要だ。

 気になる使用メモリ量だが、ブラウザサイズは意外にも大きくない。iPAQ Pocket PC の「システム」をみた限りでは、データ記録用メモリは 2MB は消費されていないように見えた。代わりに要求されるのが、プログラム実行用メモリだ。「NetFront v3.0」だけが動いている状態で、約 3.8MB を使用していた。Windows Media Player などよりも重たいソフトといえる。業務用で、ばりばり使うなら、iPAQ Pocket PC の 64MB モデルなどを選びたい。

■ 終わりに

 今回は、iPAQ Pocket PC で動作している「NetFront3.0」を紹介した。アクセス社では、従来どおり、この「NetFront3.0」も、OEM でのみ提供する予定とのことである。(OEM というのは、要は、各社の Pocket PC バンドルの形でのみ提供ということ) 昨年の取材時に、アクセス社では、社員のほとんどが技術者で、直接エンドユーザーサポートを行うほど社員がいないため販売する予定はない、と語っていたが、今回は少しニュアンスが違っていた。いわく「ほしいという要望が高ければ、検討すると思う。マーケティングに伝えておく」とのこと。

 もし、WindowsCE FAN を見ている Pocket PC ユーザーで、この記事をみて「NetFront3.0」を購入したいという希望があれば、まずは webmaster@wince.ne.jp まで連絡してほしい。数が多ければ、メッセージボードなどでのアンケートを企画したいと思う。

 また、昨年の「WORLD PC EXPO 2000」では、Nintendo64、PlayStation2、Dreamcast 用など、多くのゲーム機用の「NetFront」を紹介した。その驚くべき再現性は、今年みても新鮮だ。下記の関連記事を参照してほしい。



Pocket PC のブラウザ、NetFront3.0なら ここまでできる!(ただしOEM提供のみ)

Reported by けいたん


Last-modified: Sun, 24 May 2009 23:45:30 JST (3101d)