WindowsCE .NET正式発表、 二つの新テクノロジー Mira、Freestyle
ビル・ゲイツ Keynote より

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2002年1月8日(火)版

WindowsCE .NET正式発表、 二つの新テクノロジー Mira、Freestyleビル・ゲイツ Keynote より

CES2002 レポート Your Source for Workstyle and Lifestyle Technology

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■ はじめに

 2002年1月7日、明日よりラスベガスで開催される CES2002 (Consumer Electronics Show 2002) の Pre-Event Kick-Off Keynote として、ビル・ゲイツ氏が登場した。あらゆるイベントの基調講演、キーノートで登場するビル・ゲイツ氏だが、同氏が、今回の CES 2002 のために選んだテーマは、「Software And Consumer Electronics」だ。一見抽象的で大きなテーマとも言えるが、マイクロソフト社の中では、こうしたテーマを、WindowsCE と WindowsXP という二つの技術の柱によって達成していこうとしている。

 今回、「コンシューマーエレクトロニクス(CE)」というテーマにも掛け合わせ、改めて WindowsCE 技術の重要性を語ったようにも受け取れた。そのハイライトについてお届けしよう。

 本日は速報と言うことで、まずは、本日正式に発表された、WindowsCE .NET と、Mira、Freestyle の 2つの新しいテクノロジーについて紹介しよう。また、明日は、ビル・ゲイツ氏の基調講演の中で明らかになった「次期 Pocket PC」、「Stinger の最新デモ」についても映像を交えて紹介していきたい。

■ WindowsCE .NET


 従来より、マイクロソフト社では、リアルタイム性、堅牢性に優れた WindowsCE OS の次期バージョンとして「Talisker」というコードネームの OS を開発中だった。Talisker については、WindowsCE FAN の紹介記事や、ニュースコラムを参照していただければと思うが、この OS の名称を「WindowsCE .NET」とすることが正式に発表された。以前は、WinodwsCE Version 4.0 になると見られてきた同 OS だが、.NET 戦略を展開するマイクロソフト社の大きな流れの中で、新たに、.NET ファミリーとしての製品として登場することになった。

 WindowsCE .NET は、従来より語られている Talisker に加えて、.NET 対応のために新たに追加されるのは、下記のようなコンポーネントだ。シンプルと言えばシンプルだが、WindowsCE .NET は、マイクロソフトの .NET 戦略の中でも、シンプルなスマートデバイスを実現するためのキーテクノロジーとして位置付けられており、XML parser および、それに対応した IE5.5 があれば十分と言えるのかもしれない。

◎ WindowsCE .NET で追加となったコンポーネント

  • Internet Explorer 5.5 (for WindowsCE .NET)
  • XML 対応

さり気にパッケージも公開(右下)

 また、WindowsCE .NET が具体的に、Pocket PC や、H/PC となるわけではない。本日発表された WindowsCE .NET は、あくまで WindowsCE .NET Platform Builder なわけで、これをベースに、さまざまなアプリケーションや、ユーザーインターフェースを規定したものが、Pocket PC 2003 や H/PC 2003 になるはずである。逆に、WindowsCE .NET Platform Builder をベースに、カシオなどは独自の l'agenda .NET BE-700 などを開発することができるわけだ。(カシオさん勝手に例に使わせていただきすみません)

 とはいえ、Pocket PC、Pocket PC 2002 は、WindowsCE Version 3.0 の技術をベースに開発された PDA の標準プラットフォームだ。新しい Pocket PC や、その他の新しいプラットフォームは、この WindowsCE .NET の新しい機能を利用したものになるだろう。シンプルでスマートなネットデバイスから、DVD 再生機能を持った STB まで幅広い可能性をもった WindowsCE .NET は、明日の Pocket PC を、コンパクトなサイズの「パソコン」に大きく羽ばたかせてくれるだろう。

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■ Mira

 Mira という新しい名前で呼ばれた、そのデバイスの外見は、いわゆるタブレット型だ。ノートパソコンや液晶モニタの液晶パネルだけを持ち運べるような形のデバイスである。ペンで液晶パネルを操作と聞くと、一瞬 Pocket PC のようだが、もっとも大きく違うのは、その表示デバイスの大きさだ。今日のデモでは、少なくとも XGA 以上の解像度を持っているように見えた。

タブレット型の「Mira」
薄くて軽い Mira。日本人には重いと思いますが、
写真の米国人なら軽々です。

 Mira は、ビル・ゲイツ氏のスピーチの中では「WindowsXP を持ち運ぶデバイス」として紹介された。その言葉どおり、デモで使われた Mira の上では、WindowsXP が完全な形で動作しているように見えた。Microsoft Excel が動き、グラフ描画もお手の物だ。Windows Media Player を開けば、WindowsXP のスキンが使えたり、オーディオ再生のエフェクトも使えたりする。そうしたシーンが、Mira を紹介するビデオの中で次々と紹介されていった。会場も、薄型のタブレットで、「フルセットの WindowsXPが持ち運べる」というコンセプトに、大はしゃぎだった。

 本日発表されたのは、ここまで。デモに利用されたのは、Mira の初期コンセプトモデルで、インテルと、ナショナルセミコンダクターが開発にあたっているという。

 そう、WindowsXP が、薄いタブレットの上でフルセット動くのだからすごいのだ。
 すごいのだが、これにはカラクリがある。

 まず、Mira は、家庭内でしか使えない。
 続いて、Mira が利用する、WindowsXP パソコンが、Mira とは別に必要である。ビデオの中では、時々、ミッドタワー型の PC が映し出されていたが、これこそが Mira の表示していた WindowsXP の動いている実態だ。
 そして、ベースとなる OS は、WindowsCE でも WindowsXP Embedded でもいい。

 と、ここまで書けば、このあたりの技術に詳しい読者の方なら、WindowsCE FAN スタッフと同じ結論に達するだろう。

ホームページも、Windows Media Player 8 も

 「フルセットの WindowsXP を持ち運ぶ」

 というコンセプトは非常に魅力的なセールストークだが、技術的には、これは、WinodwsXP Professional に搭載されている Terminal Service を利用するものではないだろうか? Mira とは、技術的には、RDP (Remote Desktop Protocol) 5.0 を話し、無線LAN が使えるものなら何でもいい。つまり、OS は、WindowsXP Embedded でも、WindowsCE でも、極端な話、Terminal Service Client さえあれば、Mac OS で動いてもよい。これなら、Mira を理解しやすい。

 このデモで利用された WindowsXP Professional は、すでに販売されているもの。
 また、大型液晶パネルを持った商品こそ登場していないが、たとえば、PC-EPhone などのデバイスを使えば、あなたでも、まさに今すぐに「Mira」同等の環境が実現できるのである。

 この点を突いて技術的に何の目新しさもない、面白くないというのは簡単だが、Terminal Service という面白いサービス (UNIX の世界ではかなり古くからある X-Window の考え方に近い) にスポットをあて、デバイスの作り方次第では、家庭内デバイスとして買い増し需要を喚起させられることを示したと言えるだろう。

 その点で、「Mira」は、マイクロソフト的には、やっぱり「新しい」のである。


■ Freestyle

 先日発表された WindowsXP は、あくまでもマウスとキーボードで操作する OS だ。どんなにメニューが賢くなっても、WindowsXP をマウスやキーボードなしで、たとえばリモコンで使うことはできない。

 この Freestyle と呼ばれる新しい WindowsXP の UI は、まさに、この点を補う新しいコンセプトの UI である。マウス、キーボードが不要で、テレビ用のリモコンのようなシンプルなデバイスで、その機能を使うことができる。Freestyle は、現在、のいくつかの機能を「TV Home」「My Music」「My Pictures」「My Videos」「Settings」といった5つのカテゴリに分けて、それぞれに適したユーザーインターフェースが現れるようになっている。

 例えば、「TV Home」を選択してみよう。
 続いて「Guide」「Search TV」「My Shows」「Tools」というメニューが現れ、テレビを見ることができる。このインターフェースは、昨年の CES2001 でマイクロソフトが発表した UltimateTV を改良したものだ。

FreestyleのトップUI
TV Home のトップ

 他にも、My Music では、音楽を選択すればそれを演奏することができるし、My Video では、ファイルを再生するだけでなく、映像の出力先を、WindowsXP や Mira に対応した大型スクリーンなどに映し出すことも可能だ。こうした切り替えもリモコンの操作から可能だ。

 このあたりの詳しい映像は明日、紹介することにする。

思わず熱演するビル・ゲイツ氏。
彼の挑戦に終わりはない。

■ 雑感

 筆者が参加した3年前の WinHEC99 で、マイクロソフトが打ち出した「Connected Home」というコンセプトは、家庭の Winodws98後継OS (Windows Millennnium = Winodws Me) の搭載されたパソコンで、エアコンから、ドアカメラ、ドアホン、照明までコントロールしましょうというものだった。Universal Plug and Play という技術とともに紹介されたコンセプトは、日本のメーカーからの参加者も首を傾げるところも多かった。

 その時、私や、参加者の多くが思ったのは、パソコンを使って欲しいなら、パソコンでエアコンが制御できるより、リモコンでメールを読んだり、テレビを表示したりできるリモコン機能だろう、ということだった。パソコンがコントロールするのではなく、パソコンがコントロールされるのである。文章にすると、数字の違いだが、この違いは、あまりにも大きなマイクロソフトの認識のずれだった。

 今回の Freestyle は、まさに、WindowsXP をリモコンひとつでコントロールしてもらおうという野心的なユーザーインタフェース。こうした発想は、最近の A4型ノートパソコンに見られる、音楽の再生ボタンや、メールチェックボタンと同じだ。こうした要素が直接の購入の決め手となるかどうかは、まだまだ見せ方の問題もあり、不透明だが、2002年のパソコンシーンには、現在の「メールチェック」「音楽再生」ボタンと同様のコンセプトを持ったリモコンで制御できる PC が登場しそうな予感がする。

 そのときまでに Freestyle が間に合うかどうかわからないが、来年には登場して欲しい技術だ。




Reported by けいたん


Last-modified: Sun, 24 May 2009 23:45:30 JST (4142d)