■はじめに 前回は、PDAを本格的カーナビに変える「デンソー NAVISTANT DV-P10」の概要を紹介し、NAVISTANTの概要とその実力をおおよそイメージしてもらえたのではないかと思う。 今回は一歩進んで、NAVISTANTのソフトウェアのインストール、地図データを切り出してPDAへ転送する、目的地の設定とルート探索、といった具体的な使用手順についてレポートしよう。 なお、文中の仕様及び画面は全て開発中のものであり、実際の製品版とは異なることがある旨を予め注意いただきたい。 ■NAVISTANTを使用する前に
NAVISTANTを使用するには、車へのT-STATIONやGPSアンテナなどのハードウェアの取り付けの他に、PDAとパソコンにナビゲーションソフト「NAVISTANT」および地図データ切り出しソフト「MAP PICKER」をそれぞれインストール必要がある。これらのソフトウェアのインストールについて簡単に説明しよう。(→ ハードウェアの取り付けは第3回で解説する。) 1.パソコンとPDAをActiveSyncで接続 後の環境設定で必要になるので、この時点で地図データを保存するメモリカードをPDAに装着しておくとよいだろう。 2.「MAP PICKER」および「NAVISTANT」のインストール パソコンにNAVISTANTのCD-ROMをセットすると自動的にインストーラーが起動する。通常のWindowsプログラムやPocket PCプログラムと同様のインストールウィザードに従って、パソコンに「MAP PICKER」、PDAに「NAVISTANT」をインストールする。
 | 環境設定により、メニュー画面の壁紙も変更できる |
3.NAVISTANTの環境設定 ソフトウェアのインストールの後、NAVISTANTの環境設定を行う。環境設定では、PDA側での画像データや地図データなどのインストール先、メニュー画面の壁紙などを選択する。 が、データのインストール先については少し注意が必要だ。以下の2種のデータのように、インストール先がパフォーマンスを左右することもあるためだ。・ナビゲーション情報ファイル: 初期容量は約7MBほどで、PDA本体に入れることができそうに思えるが、ここで指定したフォルダには音声データの他、切り出した地図データなども保存されるので、インストール先には十分な容量を持つ外部メモリを指定しておく必要がある。 ・画像ファイル: ナビゲーション画面に使われる、ボタンや矢印などの画像データ。初期容量は約4MBほどで、PDA本体にインストールしておくことで画像表示スピードを早くすることができる。 これらの指定が終わるとデータファイルのPDAへの転送が始まり、約10分ほどで終了する。
 | MAP PICKERの使用画面(クリックで拡大) |
■MAP PICKERで地図の切り出してPDAへ転送する 何度か紹介してきたが、NAVISTANTでは、付属する全国地図からパソコン側の「MAP PICKER」プログラムによって必要な部分の地図データを切り出して、PDAのコンパクトフラッシュなどのメモリカードにコピーして使用する。 NAVISTANTおよびMAP PICKERが扱える地図は、デンソーの付属のものに限られ、他社の地図などには対応しない。 また、MAP PICKERは、Windows XP/2000/Me/98SE 用のプログラムで、Macintoshには対応しないことにも注意が必要だ。 NAVISTANT付属の地図はCDカーナビに使われる高精度なものであるが、そのデータサイズは日本全国で約400MB、東京・名古屋間で約100MB、東京都で約20MB程度と、通常のドライブで用いるなら64MBもしくは128MB程度のメモリカードがあれば十分と言えるだろう。 さて、MAP PICKERに関して、最も気になるのはデータ転送を中心とする使用感であるが、約20MB(東京全域相当)のデータ転送にかかる時間の目安を紹介しておこう。
パソコンへの転送(*) | ハードディスクへ転送 | 約45秒 | メモリーカードへの転送(**) | 約3分40秒 | PDAへの転送 | 約1時間 | (*) ハードディスクに地図データを転送できるが、PDA上のNAVISTANTでなければ閲覧することはできない。 (**) 実際の転送速度はメモリーカードによって異なる。 上の表のように、クレードル経由で直接PDAにデータを転送した場合、非常に長い時間がかかってしまう。それに対して、カードリーダ/ライタなどを使ってパソコンからメモリカードに直接記入してしまうことで、データ転送時間をかなり短縮することができることが分かる。地図データを頻繁に入れ替えそうな人、すぐに使いたいので1時間も待てない、という人は、メモリカードリーダ/ライタを用意しておくと良いだろう。 あるいは、CFカード+SDカードなどの複数のカードスロットを備えているならば、CFLANカードを使ってActiveSync接続し、SDカードをストレージとして利用すれば良いだろう。
■目的地設定とルート探索
NAVISTANTで目的地・通過点を設定する方法には、マップコードを入力して検索する、メモリー地点の中から選択する、過去に目的地にした地点から選択、直前に開いていた地図上で直接指定する、という4つの方法がある。 マップコードについては第1回で紹介したが、デンソーが開発した、位置を最大10桁の数字で特定できるコード番号で、NAVISTANTに付属のマップコード・インデックスをはじめ、「るるぶ」などの旅行ガイド雑誌やインターネットで入手でき、これによって簡単に目的地を設定することができる。  | メインメニュー画面 |
|  | メインメニューから「目的地設定」を選択 |
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 | メモリー地点は300件まで登録可能で、 人とやり取りすることもできる。 |
|  | メモリー地点から簡単に目的地を設定できる。 |
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目的地や通過点の設定は300件までメモリに保存できる他、PCにバックアップを取ったり、NAVISTANTをインストールしたPDA間で送受信することができる。メモリ地点を人に渡すことができることは、複数の車に分乗して同じ目的地に向かうときなどに便利だろう。 以上、いずれかの方法で最大10ヶ所の通過点や目的地を設定すると、現在の自車位置からのルート探索が始まり、数秒ほどでナビゲーションが開始される。 ナビゲーション画面やボタン操作は普通のカーナビとほぼ同様であり、マニュアルがなくても戸惑うことなく、直感的に操作できる(実際には必ず読みましょう)点などは非常に好感が持てる。
 | 地図上で選択した場所を確認し、 目的地/通過点として登録する |
|  | 目的地を設定するとルートが探索され、 ナビゲーションが始まる |
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以上、ソフトウェアのインストールからナビゲーションの利用までを簡単に紹介してきたが、最後にマップコードに関する興味深い使い方を紹介しよう。 左下のInternet Explorerの画面内に「地図表示」というボタンがあるが、NAVISTANTが起動している状態でこのボタンをクリックすると、Webサイトに埋め込まれたActiveXコントロールによってNAVISTANTにマップコードが渡され、その地点の地図が表示される。このActiveXコントロールの仕様は公開される予定になっており、マップコードの入ったドライブコースや名所の紹介のようなHTMLコンテンツが登場すると、カーナビと連携できるドライブガイドとして注目を集めるのではないだろうか。
 | 「地図表示」ボタンによってマップコードが NAVISTANTに渡されるHTMLコンテンツの例 |
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→ 「地図表示」 をクリック |  | 該当するマップコードの地図が表示され、 目的地などに設定することができる! |
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■おわりに
今回は画面キャプチャを交えてNAVISTANTのインストールから使用するまでの流れを紹介してきたが、操作メニューの階層やボタン配置などに統一感が有り、よく作りこまれている印象を持った。デンソーの長年に渡って蓄積されたノウハウが詰め込まれているのだろう。 さて次回の内容であるが、ハードウェアの取り付けに触れた後、NAVISTANTを使う準備が整ったということでいよいよ実車レポートを敢行する。ルート探索や自車位置の精度や車内での操作感など、カーナビとしての性能を中心に検証していくつもりだ。
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