MIPSアーキテクチャCPU NEC VRシーリズの今

このページをDeliciousに追加 このページをはてなブックマークに追加 このページをYahoo!ブックマークに追加

2002年4月1日(月)版

MIPSアーキテクチャCPU NEC VRシーリズの今

あのCPUどうしたんでしょう?


■はじめに

 WindowsCE .NETでも従来どおり、ARMをはじめ、x86、SHシリーズ、もちろんMIPSアーキテクチャCPUもサポートされている。ところが、マイクロソフトの標準プラットフォーム Pocket PC で使用されるCPUはARMアーキテクチャに統一された。現在はインテルのStrongARM CPUが標準であり、将来的にはXScale CPUが標準となるはずだ。このため、WindowsCEといえばStrongARM、XScaleだと思っている人もいるかもしれない。また,WindowsCEが走る最高速のCPUはStrongARM、XScaleではないかと聞くことも多い。最新鋭のXScale CPUを搭載したPocketPCが続々と発表されているが、まだ未発売であるし、処理速度のベンチマーク実測値も未発表なのでまだまだ未知数な部分が多い。今後の楽しみというところだろう。
 さて、かつてほとんどのハンドヘルドPCやPocketPCで採用されていたMIPSアーキテクチャのCPUはどうなってしまったのだろか。ここでは今までに最もポピュラーであったNECのVRシリーズについてどうなっているのかみてみよう。


■フルスクリーンでがんがんビデオ再生していたCPUは?

写真1:VRシリーズ評価セット・ソリューションギア2
写真2:WindowsCEでフルスクリーンビデオ

 3月に東京で開催されたWindows Embeddedデベロッパカンファレンスでの目立った発表・展示といえば、XScaleを搭載した日立の次世代PDA「NPD-10JWL」だったのだが、もうひとつ目玉が展示されていた。写真1はNECの最新鋭のMIPSコアCPU VR5500の評価ボード、Solution Gear2だ。なんとWindows Media Player 8を使ったVGA画面フルスクリーンのビデオ再生のデモを行っていた。会場で聞いた話によると、使用しているのは320x240ピクセル、2Mbps、30フレーム/秒の画像だそうだ。縦横2倍に伸ばして表示していたわけなのだが、写真2のように綺麗な画像だった。あまりにも綺麗な画像だったせいか、会場ではマイクロソフトの上級ディレクター、キース・ホワイト氏も展示に見入っていた。展示で使用されたWindows Media Player 8はWindwosCE.net評価版に標準添付のものをそのまま使っており、特別なチューニングをしていないとのことだった。チューニングを行えばもっと速度が稼げるとのことだ。CPUの処理速度だが、VR5500の場合、300MHzクロックで603MIPS(Drrystone2.1)、400MHzで約800MIPSとのこどだ。またハードウェア浮動小数点機能がついており、WindowsCE.netでは64ビットの倍精度浮動小数点をそのまま扱えるとのことだ。写真3はNEC VRシリーズのロードマップなのだが、VRシリーズも開発に力がいれられており、ますます成長しているのがわかる。つまりARMとおなじくMIPSアーキテクチャCPUもどんどん伸び続けているわけだ。


■それではMIPSは今どこで使われている?

写真3:NEC VRシリーズのロードマップ
 MIPSベースCPUを搭載した、有名なCEマシンとしてはカシオのラジェンダBE-300/500がある。ラジェンダではNEC VRシリーズCPUのうち、低消費電力かつ高速なVR4131が使われている。この他にMIPSベースCPUを使用しているものとしてはSetTopBoxやWindowsCE端末があげられる。MIPSベースCPUはPocketPCでは使われなくなったものの、SetTopBoxの業界においては、ほぼスタンダードとなっている。ハイエンドのSetToBoxにおいて、PC並みのパフォーマンスを出そうとする場合、発熱・消費電力が問題となる。また組み込み用のx86系CPUでは動画再生の場合などにパフォーマンスが不足してしまう。そこで選択肢となっているのがMIPSベースCPUであるNEC VRシリーズなのだそうだ。
 SetTopBox以外にも使われている部分がある。それはインターネットの基幹を支えるサーバ系の装置群だ。例としては集合高速ルータなどがある。このような用途では処理能力が高くても発熱量が問題となる。そういう分野でMIPSベースCPUが活躍しているわけだ。NECではこの用途に向けてVR5500シリーズを投入しており、更に高性能なVR10000シリーズも既に開発している。またゲームマシン「ニンテンドー64」でもVR4300シリーズが使用されている。また人気のあるポケットポストペットやシグマリオンにもVRシリーズが使用されている。

写真4:デブコン会場に並べられたCE搭載機。この中にもVRシリーズが使われているものがあるぞ。


■ワンチップPDA?

写真5:1チップソリューションVR 4181のブロック構成
 MIPSベースCPUはSetTopBoxでほぼスタンダードの位置をしめているにもかからず、PocketPCにはStrongArmやXScaleに席を譲った。ところが小型情報端末分野について力を入れていないわけではない。NEC VRシリーズの中にMIPS R3000ベースのVR4181、VR4181Aというチップがあり、LCDインターフェイス、CFインターフェイス、USBとシリアルインターフェイス、タッチパネルインターフェイス、D/A・A/Dコンバータまでもが内臓されている。このチップを使えば、ローコストにPDA機能を実現できることが想像できるだろう。写真5をみればPDA機能に必要な回路がほとんど組み込まれていることに気がつくだろう。主なターゲットとしては、スマートホンやカーナビゲーションシステムがあげられる。カーナビゲーションにはWindowsCEが使用されているケースも多い。VR4181の歴史は古く、当初STN液晶256色表示までサポートしていたが、その後改良版のVR4181AではTFT液晶64K色表示がサポートされた。

■終わりに

 PocketPCに使用されなくなり、影を潜めた感のあったMIPS系CPU VRシリーズだが、以上のようにまだまだ主力のCPUであり続けている。組み込み用途では、それぞれのプラットホームで制限事項が多く、1種類のアーキテクチャCPUではまかない切れない部分がある。そのような中で、選択肢の一つとしてがんばっているといえる。



MIPSアーキテクチャCPU NEC VRシーリズの今

Reported by かっぴー


Last-modified: Sun, 24 May 2009 23:45:30 JST (3769d)