Push技術知ってる? ビジネスシーンでも便利な「Push」とは?

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2002年4月30日(火)版

Push技術知ってる? ビジネスシーンでも便利な「Push」とは?

もっとPDAを活用できる! ビジネスに活きる! 「PUSH配信実験サービス特集」



■ はじめに

 NTTドコモの iモードを始めとする携帯電話キャリア各社のケータイメールサービスが人気だ。1,000万人以上先行していたパソコンベースのインターネットメールユーザーを軽々超えて、今や、3,000万人以上の日本人が携帯電話でメールを利用している。多くのユーザーはメールを受ける方が多いだろうが、今や女性を中心に、若者の中では、携帯電話でメールを書く人も多い。WindowsCE FAN ユーザーのようにキーボード付のシグマリオンIIなど、携帯電話よりも画面が大きくて使いやすい「PDA」愛好家からは信じられないが、それが実態である。

■ 人気のケータイメールの秘密は「Push技術」!?

 携帯電話でメールサービスが人気なのは、もちろんいつも持ち歩いている携帯電話端末でメールの交換ができるという手軽さにあるのは間違いない。しかし、携帯電話を取り出して、毎時間メールの「受信」チェックが必要だったらどうだろう? 少なくとも携帯電話を使ったメール交換は、今ほど流行ってはいないはずだ。しかし、実際には、メールは送られたらすぐにあなたの携帯電話に届く。もちろん、それは確実ではなく、混雑時に数時間遅れてしまうこともあるが、基本的に自動的にメールが送られてくる点こそ、ボタンがちまちま使いにくい携帯電話端末の欠点を補ってなお余りある利点なのだ。

 筆者の周りでも、「携帯電話のメールで十分だから、プロバイダを解約した」という人を何人か知っているほど、利用シーンによっては、携帯電話のメールはそれで十分と言えるほど便利なのだ。※1

■ 「Push」とは? 自動的に送り届けてくれる技術

 このケータイメールのように、利用している端末に、「自動的に情報を届けてくれる」技術を、一般的には「Push」手法と呼ぶ。インターネットの世界で「Push」といえば、英語の単語の意味から推測されるとおり、サーバーからクライアントの端末に自動的に情報を送り届けてくれる仕組みのことを言う。携帯電話のメールサービスは、ユーザーから見ると、自動的にメールを「届けてくれる」から「Push」だ。

 この反対はインターネットではデフォルトの考え方なので、省略されてあまり使わないが「Pull」という。ケータイメールが「Push」なら、まさにプロバイダの提供するメールサーバーの考え方が「Pull」だ。ユーザーがわざわざパソコンを起動して、プロバイダのメールサーバーをチェックしなくては、メールがあるかどうかも分からない。ユーザーの方からわざわざ情報を「引き出す」必要がある。

■ インターネットでの「Push」は技術的には非常に高度

 こうして比較してみると、「Push」と「Pull」なら、どうも「Push」の方が使い勝手がいいらしい。だったら、プロバイダもケチケチせずに、「Push」技術を導入すればいいのに、と思うだろう。

 しかし、インターネットの世界では、この「Push」と「Pull」を比べると、技術的には遥かに「Push」の方が難しい。

 例えばこれを、さきほどまでの電子メールの場合で考えてみよう。
 電子メールは、ユーザーのパソコン(あるいは携帯電話端末)と、プロバイダ(通信会社)のメールサーバーの組み合わせで提供されるサービスだ。

 先ほども述べたとおり、電子メールは一般的に「Pull」型のサービスだ。プロバイダに入っているユーザーが、自分宛ての電子メールを読む場合の流れを考えてみよう。下記のような手順で読み出すことができる。

【メールを読む手順】

手順1.パソコンを起動する
手順2.インターネットに接続する
手順3.メールソフトを立ち上げる
手順4.メールサーバーに接続する
手順5.自分宛てに既に届いているメールをダウンロードする

 一方で、「Push」型のサービスの場合を考えてみよう。基本的には「Pull」と同じ1.〜5.の項目を実行することになるのだが、ここで問題がある。メールサーバーが「Push」して、メールをパソコンに送ろうとしても、下記のような問題があるかもしれない。

【Pushの場合の問題点】

問題1.パソコンが起動していないかもしれない。
問題2.インターネットには接続されていないかもしれない。
問題3.メールソフトが立ち上がっていない or インストールされていないかもしれない
問題4.サーバーから見たときに、どの人が、どのメールアカウントの人かさっぱり分からない

 それぞれ、先の「Pull」の手順1.〜4.に対応した問題点だ。

 こうした問題点があるために、インターネットのメールサービスでは、「Push」技術でメール配信を行うことができない。

 それでは、携帯電話のメールサービスの場合は、これらの問題がどうして解決されているのだろうか?

【携帯電話では問題が解決している】

問題1.パソコンが起動していないかもしれない。
→ 携帯電話は大抵電源が ON になっている。もちろん OFF なら届かない

問題2.インターネットには接続されていないかもしれない。
→ 携帯電話は大抵電波が入っている状態になっている。もちろん、電波が届かないときには、インターネットにも接続できないためにメールも届かない。

問題3.メールソフトが立ち上がっていない or インストールされていないかもしれない
→ 携帯電話は、外からの制御電波によって、着信音を鳴らしたり、メールを受信したりできる仕組みを最初から持っている。

問題4.サーバーから見たときに、どの人が、どのメールアカウントの人かさっぱり分からない
→ 通信会社は、どのメールアドレスが何番の電話番号のユーザーかすべて覚えている。また、何番のユーザーが今どのエリアにいるのかも、携帯電話の仕組みで把握している。
 このため、パソコンにはできなくても、携帯電話には「Push」でメールが届くのだ。

■ PDA/パソコンではどうして「Push」にならないか?

 「Push」技術は高度だが、便利だ。
 しかし、いくら技術が高度だと言っても、日本の技術屋に不可能はない。少なくとも、原理も仕組みも分かっていることで、便利なら絶対誰かが実用化してくれる。PDA/パソコンでも、「Push」技術が使いたいっ。

 当然、「Push」技術を考えている人はいる。ところが、PDA/パソコンでは下記のような問題が深刻になってくる。

問題1.電源をつけっぱなしだと電気代がたまらない
問題2.インターネットに繋ぎっぱなしだとお金がかかる (もっとも、ADSLや AirH''ではある程度解決している)
問題3.サーバーからメールソフトを自動で立ち上げる技術がない(そんなことをされたら、ウイルスまがいだ)
問題4.どのパソコンがどのメールアカウントなのか分からない

 では、PDA やパソコンを使って「Push」技術は利用できないのだろうか?
 そんなことはない。

■ 続く

 上記で挙げた問題点をすべて理想的に解決してくれるわけではないが、きわめて近いことを実現してくれる技術はすでにある。また、PDA で「Push」技術に対応したものもあるし、組み合わせて「Push」サービスを体感できるサービスもすでに始まっている。

 次回は、まず、この「Push」技術を PDA やパソコンで実現するための技術「WOR」について紹介しよう。また第3回は、この「WOR」技術を利用して、PDA 向けに提供されている「Push配信」実験サービスを紹介する。



■ 補足: より正確な理解を求める方へ

 インターネットに詳しい方ならご存知だろうが、実はインターネットのメール配信プロトコルである「SMTP」は、「Push」型のプロトコルである。ところが、インターネットの初期に多かった「ダイヤルアップ」型のユーザーはこれでは使えない。また、IPアドレスも固定のものが必要だ。通常は、有限の資源である「IPアドレス」を固定で割り当てるサービスは少なく、1つのIPアドレスを何人ものユーザーでシェア(共有)するのが一般的だ。このため、この「SMTP」は、今ではプロバイダ(や企業や個人の)メールサーバー間でのみ使われている。

 一方、メールを「Pull」でも読めるようにしたのが「POP3」や「APOP」、「IMAP4」といったプロトコルだ。実は、元々インターネットメールは「Push」の仕組みなのだが、インターネットのインフラの問題で、「Pull」型のサービスの方が使いやすいと理解して欲しい。

■ 注

※1 なお筆者のように、1日450通〜600通のメールを受け取る(さらにそのうち100通は、管理しているサーバーからの動作レポートで、やたらとサイズが大きいといったようなメールの利用をしている場合には、携帯電話のメールサービスはまったく使い物にならない。ほとんど重要なメールが届いたときに、ポケベル代わりに鳴らす程度にしか使っていない。



Push技術知ってる? ビジネスシーンでも便利な「Push」とは?

Reported by けいたん


Last-modified: Sun, 24 May 2009 23:45:30 JST (3104d)