iPAQ H3900シリーズの特徴を確認

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2002年10月22日(火)版

iPAQ H3900シリーズの特徴を確認

PocketPC初の半透過液晶搭載、世界のiPAQシリーズ最新モデルが登場

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■はじめに

 2002年10月3日、コンパックコンピュータはiPAQシリーズの最新機種「iPAQ Pocket PC H3900シリーズ」を発表した。既に欧米では発売されているモデルの日本語化を行った製品で、標準モデルの「H3950」と、Bluetooth通信モジュール内蔵モデルの「H3970」の二種類がラインナップされている。外見は前モデル「H3800シリーズ」とほぼ同等ではあるが、内部的にはかなり大きな変更が加えられており、使用感は大幅に異なる。コンパックからH3970をお借りことができたため、実際の使用感を交えつつ、前モデルや他機種と比べたスペック的な特徴を解説していくことにしよう。

■iPAQ H3900シリーズの特徴

・CPUにインテルPXA250 400MHz(XScale)を採用

 iPAQでは、前モデルH3800シリーズまではStrongARM 206MHzを搭載していたが、H3900ではついにXScaleプロセッサ(StrongARMと互換性を保ちながら省電力化・性能向上を実現した新アーキテクチャ)への移行が行われた。最近発売されるモデルのほとんど全てがXScaleに移行しているため、現段階でXScaleを搭載することがとりわけ目新しいわけではない。また、クロックは206MHzから400MHzへとほぼ倍増しているが、現段階ではPocketPCのOS部分がXScaleに最適化されていないこともあり、残念ながら体感速度はほぼ同程度に留まってしまっていることには注意が必要だ。

 とはいうものの、初代iPAQ時代から言われていたように、同じCPUを使った中でのコンパックのデバイスチューニングは非常に優秀であり、他社のXScale搭載機に比べても明らかに高速だと感じられる。前段のような理由でXScaleは遅い遅いと言われることも多いが、このH3900シリーズに関しては速度面の問題を感じることはないはずだ。
#なお、H3900シリーズはXScaleのプロセッサスピード可変機能に対応しておらず、400MHz固定で駆動することになる。

・半透過型TFT液晶を搭載

 今回のモデルチェンジ最大のウリと言えるのが、この半透過型液晶である。他社のPocketPC 2002搭載デバイスは全て反射型TFT液晶を搭載しており、直射日光下での視認性に優れる反面、デバイスの特性上室内での視認性や色再現性に問題を抱えていた。色が全体的に白っぽくなってしまったり、写真の階調が潰れ気味になってしまったりと言った問題である。

 これらの問題を解決するのが、既に携帯電話やソニークリエなどに搭載され始めている「半透過型液晶」だ。基本的にはノートパソコンなどに使用されている透過型液晶と同じようにバックライトで光を確保しつつ、外光を反射するという反射型液晶の特性も有するため、通常時は透過型に近い鮮やかな表示を実現し、なおかつ直射日光下での視認性も確保されている。この半透過液晶の美しさは特筆に値するもので、これまでの反射型液晶とは全くレベルの異なる表示品質であると言ってよいだろう。もちろん、純粋な透過型液晶に比べると発色などの面で若干劣る部分もあるが、余程良く見比べなければ判別できない程度の違いに過ぎない。透過型のように、デジタルカメラで撮影した写真の確認に使用することも十分可能だ。この液晶に関しては、とにかく一度店頭でご覧になることをお勧めしておく。

・バッテリ駆動時間の向上

 初代iPAQの欠点として良く挙げられるのが「バッテリ駆動時間が短い」という点だった。iPAQはいちはやく反射型液晶を採用したのだが、反射型液晶のフロントライト・ユニットは非常に電力消費量が多かったため、結果として「スペック上の駆動時間は特に短くないが、実際にフロントライトを点灯したまま駆動するとかなり短めになってしまう」問題が発生してしまったのである。

 今回のH3900シリーズではXScaleプロセッサと半透過型液晶の採用によって大幅な省電力化が実現されており、「バッテリが持たない」というiPAQのイメージは既に過去のものであると断言して良いだろう。カタログスペック上の駆動時間はH3800シリーズから変化していないが、実際に使用可能な時間は体感で東芝Genio e550Gを上回っている。海外サイトのベンチマークでも、現行PocketPC中最長の駆動時間をマークしているようだ。この駆動時間に関しては、近日中にバッテリベンチを実測してご報告することにしよう。

・書き換え可能なフラッシュメモリを内蔵

 PocketPC 2002搭載機は全て、書き換え可能なフラッシュROM領域にOSを格納している。H3900シリーズも勿論フラッシュROMを搭載しているのだが、大容量メモリを搭載しているため、OSに使われていない部分(H3970で16MB程度)をユーザーが自由に使用することができる。この領域はフルリセットを行ってもデータ消失が起きないため、大切なデータや本体メモリのバックアップを置いておくことで安全な運用が可能である。外部のフラッシュメモリと同じ感覚で扱えるので、ソフトのインストール等も行える。シグマリオン2のカスタムメモリと同じような感覚で捉えてもらうと良いかもしれない。

・安価な価格設定

 H3900シリーズの実売価格は、標準モデルのH3950が49,800円、Bluetoothモジュール内蔵のH3970が64,800円とかなり安価に設定されている。スペック上は他社の最新機種と同等でありながら1万円以上安いわけで、価格設定としてはかなり大胆だといってよいだろう。なお、アメリカではH3950が649ドル、H3970が749ドル程度で販売されている。日本の価格がかなり破格なことがお分かり頂けるだろう。

 ただ、H3800シリーズよりもかなり安価になった理由の一つとして「バンドルソフトの数がかなり絞られている」ということがある。通常では辞書や路線探索ソフトが添付されることが多いが、H3900シリーズに添付されるのはJava VMとFlash Player、赤外線リモコンソフト、世界時計ソフトだけだ。実際山ほどソフトがバンドルされても使用するのはその一部だったりするわけで、思い切ってバンドルを絞り、価格を低めに設定するというのも一つの考え方だといえる。

・ジャケットコンセプトによる高い拡張性

 iPAQは世界中で非常に高いシェアを有するため、純正・サードパーティーを含めて多数のオプションが開発・販売されている。オプションは主として拡張スロットやバッテリを内蔵した「ジャケット」という形で提供される。このジャケットは初代iPAQの時から共通設計になっており、旧機種で使用したジャケット資産を最新機種でも利用することができる。これがジャケットコンセプトであり、H3900も発売されたばかりの新機種でありながら、旧機種用の豊富なジャケットを使用できるのだ。旧機種からの乗り換えユーザーには嬉しい仕様だろう。今後もジャケットコンセプトが継続するかどうかは不明であるものの、既に世界中で流通している豊富なジャケットが使えるだけでもかなりのアドバンテージになるはずだ。

 なお、H3600シリーズで標準添付されていたCFジャケットは、H3800シリーズの時同様に添付されない。現時点でPHSカードや無線LANカードを利用したい場合は、オプションとしてCFかPCカードのジャケットを導入しなければならないので、購入の歳にはご注意頂きたい。

それでは、次回はスペック表を再確認してみよう。



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Reported by square


Last-modified: Sun, 24 May 2009 23:45:30 JST (3122d)