いよいよ業界団体と激突? 1冊100円の PDF化代行サービスの行方

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いよいよ業界団体と激突? 1冊100円の PDF化代行サービスの行方

■トピックスの内容

4月中旬のブックスキャン (BOOKSCAN) 登場以来、気が付くと毎週のように、100円 PDF化代行サービスの動向をウォッチしている。先鞭をつけたブックスキャンは、納期が4ヶ月まで延びた後、業務効率を改善。かつ、スキャナ設備を増強して、受注増に備えることにしたらしい。結果、納期は一旦短縮したが、再び申し込みが増加したらしく、現在最新の納期は 9月11日(6/13時点)。しかも、プレミアム会員制度により、月額 9,980円支払った場合には、即納だ。さらにプレミアム会員になれば、Amazon.co.jp からの直送も可能。

5月末にはスキャ本 (スキャポン) という類似業者も登場した。こちらは1冊 90円になっている他、Amazon から1冊単位の直送にも対応している。こちらも人気で、サービス開始直後に、新規募集を停止している。

■ 現在の納期は3ヶ月

ということで、ブックスキャンの4月19日のサービス開始以来の納期遷移だ。
前回紹介した際に、納期が2ヶ月短縮されたが、それ以降ジリジリと納期が延びているのがおわかりいただけるだろう。

■ 業界団体からの反発も

一方、新しい動きとして、「日本文芸家協会の三田誠広・副理事長は『営利目的の業者が利益を得るのは、たとえ私的複製でも複製権の侵害』と主張する。」(YOMIURI ONLINE) といった声も出始めた。元々、ブックスキャンでも、著作権法的な課題があるのは認識済みだが、「出版業界から直接のクレームは寄せられていない」と語っていた。確かに、今回のコメントも「日本文芸家協会」という団体のものであり、論点も「複製権の侵害」だ。具体的な損害賠償的な位置づけでクレームを入れているわけではないようだ。大手出版社や、読売新聞社自身がこうした声を挙げていないことから、業者に対する反論コメントを行ってくれる業界団体を探すのに苦労した挙げ句にこの団体が登場してきた可能性もある。Wikipedia によれば、日本文芸家協会は、「もっぱら文芸家の地位向上、言論の自由の擁護、文芸家の収入・生活の安定などを活動の主軸としている。」とのことで、今回のコメントは、著作権者の権利である「複製権」について、業者が関連団体との事前調整なしにグレーゾーンのビジネスを行ったことに対する不快感を示したものと見られる。

■ 書籍・雑誌関係者は紙書籍のデメリットを理解すべき

一方で、ブックスキャンのビジネスでは、ユーザーが送付した書籍は裁断されて、そのまま処分すると歌っている。つまり、書籍の中古販売ビジネスとは異なり、書籍という著作物が著作権者の知らないところで、何度も流通して新書の販売機会を損なう、といったデメリットは存在しない。むしろ、これによって読書好きな人々の書棚を、中古書籍店に持ち込まれることなく、空け、更なる書籍の購入の促進につながる点で中古書籍店よりも歓迎される存在と言ってもいいのではないか。少なくとも出版社の経営幹部は、ブックスキャンへの圧力をかける前に、この点を理解すべきだ。

もちろん、ブックスキャンが、ユーザーが送付した書籍を裁断するが、その後中古販売店に売るとか、希望者に中古スキャン用書籍として販売するという副業を実施したとすると、この時は著作権法を盾に徹底的に潰したらよい。

最近、ARIB標準規格及びARIB技術資料のご案内なるものをダウンロードして、iPad に入れてみた。かつて紙版も購入していたのだが、その時にはA4サイズで幅 1.5m くらいの場所をとっていた。質量も測定したことはないが、50kg とか、100kg といったオーダーだろう。ページ数は、何万ページにもなる。ところが、PDF版をダウンロードして、iPad に入れてみたら、全部の資料が iPad の中にすっぽり収まって、重さは iPad の質量、すなわちケース付きで約850g になってしまった。もちろん、iPad の無料PDFリーダーでは、手書きのしおりをつけられない、マーカーを引けない、などのデメリットもあるのだが、こうしたものは、やがて有料の高機能PDFリーダーアプリが登場して解決してくれることだろう。PDFフォーマット自体には、こうした機能があるのだから、対応されるのは時間の問題だ。(といいな)

もう一つ iPad を使ってみて変わったのは、Newsweek、週間ダイヤモンド、AERA は、紙版の購入を完全に止めてしまったことだ。読めるのが1週間古いと、意味のない情報も多いのだが、本当に読みたい特集記事は1週間遅れでも、そんなに問題ないことに気が付いてしまった。むしろ、今までは、雑誌を読み終わった後、溜まってばかりで仕方がないので、定期的に捨ててしまうのだが、後から「あの内容って何だっけ?」と思い出せず、困ることが多かった。電子書籍であれば、iPad 中に貯められるだけ貯めることができるので安心だ。16GB版の中に 1冊 100MB の書籍は、150冊貯められる。150冊って、1冊 1,000円でも、15万円分の買い物だ。これを 5万円の書棚に入れて、雑誌1冊分のスペースで保管しておけるのであれば、書棚の数だけ iPad を購入してもよいかなあと思ったりする。(実際には、電子書籍アプリ次第で、パソコンにもバックアップしておける)

紙の雑誌であったときには、会社内での貸し借りなども行われている気がするが、iPad で貸し借りというのは聞かない。結果として、雑誌販売の促進にもつながるのではないか、と思う。

ブックスキャンなどの事業者が、適法である、と言われるまでには、実は一度訴えられて裁判所に行く必要があったりするのだが、返ってそうした踏み絵を早く踏んでしまった方が、書籍の電子化を進める上では早道になるような気がする。これが適法であると認知が広がれば、前に紹介した、店頭にスキャンスタンドを設置するような書店も登場してくるのではないだろうか。無料の Web情報も便利だが、同じ iPad 上でフラットに両方使ってみるとやはり、執筆者と編集者の知恵が詰まった書籍や、雑誌は読みやすいし、頭にも入りやすい。低迷続きと言われる出版業界だが、この機会に、ぜひ、有料で大量消費を目指して、ブックスキャンのチェーン展開などを支援してもらいたいなあと思うこの頃である。

■ 関連リンク

■ 参考リンク

2010年4月の 1冊 100円でPDF化代行サービスのブックスキャン (BOOKSCAN) 登場以来、盛り上がってきている電子書籍化 (PDF化) 代行サービス。ということで、興味のある方はぜひバックナンバーもどうぞ。


いよいよ業界団体と激突? 1冊100円の PDF化代行サービスの行方


Last-modified: Sun, 24 May 2009 23:45:30 JST (3769d)